ジェトロ、ショッピングモールで日本酒PRイベント開催、約3,500人が来場
(香港、日本)
香港発
2025年03月05日
ジェトロは、香港の繁華街・尖沙咀(チムサーチョイ)の商業施設「美麗華広場(ミラプレース)」で2月21日から23日までの3日間、日本酒試飲イベントを開催した。同イベントは、日本酒の主要な輸出先である香港において、日本酒のさらなる輸出拡大を図るために2023年から実施している。3年目となる今回は、「推しの日本酒」と題し、若者を中心に香港でも人気のアニメやキャラクター、アイドルの「推し活」ブームと日本酒をかけあわせたテーマでプロモーションを行った。3日間で前年を超える3,500人以上が来場し、試飲した。
会場では、香港の酒類販売業者13社が選んだ日本全国70種類以上の日本酒が陳列された。ブースは次の5つのカテゴリー、(1)旨味(うまみ)とコメの味わいが楽しめる伝統的な酒、(2)熟成させた古酒、(3)スパークリング日本酒、(4)梅酒や果実酒などのリキュール、(5)ニュースタイルの酒(注)に分けられ、展示が行われた。各ブースには、それぞれの酒の特徴と、取り扱いのある香港内の酒販店の情報を記載したプレートを設置、スタッフが来場者に説明し、試飲提供を行った。
また、都道府県や酒類販売業者、飲食店などの協力を受け、3日間で23回のワークショップを開催した。各回のワークショップはすべて満席となり、参加者が家族や友人たちと楽しむ姿が見られた。栃木県、茨城県、鳥取県の3県は、県内酒蔵の紹介および試飲提供により、参加者に県の魅力をPRした。栃木県は、「山と里の味、栃木の地酒とその物語」というテーマで、スパークリング日本酒を含めた7種類の日本酒を紹介した。参加者から酒蔵を見学してみたい、という声があり、栃木県内の見学可能な酒蔵を講師が紹介した。茨城県は、茨城県の日本酒を多く取り扱う香港の酒販店が講師となり、5種類の日本酒を紹介した。茨城県からは、茨城県の日本酒に関するパンフレットを参加者に提供した。鳥取県のワークショップでは、日本酒の飲み比べ体験とともに、鳥取県米子空港と香港空港の直行便を紹介し、観光も含めた鳥取県の魅力を紹介した。ワークショップの参加者からは、「飲食店で日本酒を選ぶことはあっても、飲み比べができる機会は少ない。こうしたイベントで飲み比べをすると、それぞれの酒の特徴がわかり、好みのタイプに気づくことができた」といったコメントがあった。
都道府県によるワークショップのほか、宮坂醸造による日本酒講座や、2024年にソムリエアワードを受賞した燗(かん)付け師の五嶋慎也氏による燗酒講座が開催された。燗酒講座では、五嶋氏からは、市販のチーズや缶詰の焼き鳥といった気軽に手に入るおつまみと燗酒のペアリングが提案されたほか、参加者は自身で酒を温めながら、温度による味わいの違いを体験した。
同イベントに酒類を提供した酒類販売店の担当者からは、「イベント開催中に会場近くの自社店舗に行くと、イベントで紹介されていた日本酒を探しているというお客様がいた。商品の情報だけでなく販売店の情報も含めて紹介できるので、日本の酒蔵も香港の販売店も喜んでいると思う」といったコメントがあった。
イベント会場の様子(ジェトロ撮影)
ワークショップの様子(ジェトロ撮影)
(注)例えば、ワイン酵母で醸造された日本酒や、白麹(こうじ)を使用した日本酒、日本酒の製造技術をベースとしてコメを原料としながら、従来の「日本酒」では法的に採用できないプロセスを取り入れた「クラフトサケ」など、「日本酒」の枠を超えた新しいスタイルの酒。クラフトサケブリュワリー協会によると、「クラフトサケ」はフルーツやハーブなどの副原料を入れることで、新しい味わいを実現した酒もたくさん誕生しており、コメを原料としながら、日本酒のルールに縛られない、自由で多様なお酒とされている。
(杉本真希)
(香港、日本)
ビジネス短信 0358b151809823c8