トルクメニスタンの天然ガスをトルコに輸出
(トルコ、トルクメニスタン、イラン、イラク)
イスタンブール発
2025年02月13日
トルコのアルパルスラン・バイラクタル・エネルギー天然資源相は2月11日、トルコの国営石油ガス・パイプライン輸送会社(BOTAŞ)とトルクメニスタンの国営トルクメンガスがトルクメニスタンの天然ガスをトルコに供給する協定に署名したと発表した。
両国の天然ガス分野における協力と発展に関わる覚書(MoU)は、2024年3月にトルコのアンタルヤを訪問したトルクメニスタンのグルバングル・ベルディムハメドフ人民評議会議長とトルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領が署名していた。ロイター(2月11日)によると、トルコは3月1日から、イランの天然ガス・パイプライン網を通じて、トルクメニスタンの天然ガスを輸入することになるようだ。輸入量や条件など詳細は発表されていないが、年間最大20億立方メートル規模が期待されている。
バイラクタル・エネルギー天然資源相は「長年取り組んできた今回の協定により、両国間の戦略的協力を一層推進するとともに、わが国および地域の天然ガス供給の安全性を強化するだろう」と述べた。なお、トルクメニスタンからの天然ガス輸入に関しては、カスピ海横断、アゼルバイジャン経由のパイプライン建設計画があるが、なお議論が続いている。
トルコでは、年間500億立方メートルを超える天然ガスが消費されているが、国内のガス資源が限定的であることから、ロシアを最大に、アゼルバイジャン、イランからのパイプラインを通じた天然ガスやアルジェリアなどからの液化天然ガス(LNG)を輸入している(2024年7月4日記事参照)。またトルコは、自国のパイプラインを通じた欧州向け天然ガス供給のハブを目指すなど、地域のエネルギー回廊構築を進めている。
他方、世界4位の天然ガス埋蔵量を誇るトルクメニスタンの天然ガスは、中国向け輸出に大きく依存しており、輸出市場の多様化が急務となっている。2023年には、イラン経由によるイラクへの天然ガス供給に関する暫定協定に署名している。
(中島敏博)
(トルコ、トルクメニスタン、イラン、イラク)
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