トランプ政権に期待する優先事項は不法移民や財政赤字対策、米世論調査
(米国)
調査部米州課
2025年01月21日
米国のドナルド・トランプ大統領は1月20日就任し、優先政策分野を発表した(2025年1月21日記事参照)。就任直前の世論調査では、第2次トランプ政権に期待する優先事項として、不法移民や国家債務(財政赤字)に係る項目が上位を占めた。
ハーバード大学米国政治研究センターとハリス・インサイト・アンド・アナリティクスが1月18日、トランプ政権に期待する政策などに関する世論調査結果(注1)を発表した。就任100日以内に最優先で行うべきこととして、「罪を犯した不法移民や不法滞在者の強制送還」(27%)、「不法移民を阻止した過去の移民政策を復活させ、国境を閉鎖する」(26%)、「米国政府の年間予算赤字と増大する債務を根絶するために、政府支出を1兆~2兆ドル削減する」(21%)、「ウクライナ戦争をできるだけ早く終わらせる(注2)」(18%)、「生活保護を受けて生活している不法移民の強制送還」(17%)、が上位に挙がった。
トランプ氏が主張してきた「メキシコ湾をアメリカ湾に改名する」(2%)、「カナダとメキシコに新たな貿易関税を課す」(3%)、「NATOから脱退する」(3%)、「国家安全保障上の目的でデンマークからグリーンランドを購入する」(3%)、「パナマ運河の支配権を取り戻す」(4%)は下位だった。
「ウォールストリート・ジャーナル」紙が1月に実施した世論調査(注3)によれば、トランプ氏の統治について、「議会は大統領に対する牽制と均衡の役割を果たす義務がある」(68%)が「米国の有権者はトランプ氏に、彼が適切と考える統治を行う権限を与えた」(27%)を大きく上回った。また、予算決定については、「憲法は議会に支出権限を与えており、大統領は予算決定を行うために議会と協力する必要がある」が76%で、「トランプ氏は予算決定を行うより大きな権限を持つべき」(18%)を大きく上回り、トランプ氏の統治を議会がコントロールしていくことへの期待が高いことが分かった。
トランプ氏自身の国を率いる資質に関しては、「資質がないとずっと感じていたし、見解は変わってない」が43%、「資質があると信じている」が42%と意見が分かれた。
(注1)実施時期は2025年1月15~16日。対象者は全米の登録有権者2,650人。
(注2)全文は、「現在の紛争ラインを凍結し、ウクライナとロシアの間に非武装地帯を設置し、ウクライナが西側諸国から安全保障の保証を受けながらも中立を保ち、NATOに参加しないことで、ウクライナ戦争をできるだけ早く終わらせる」。
(注3)実施時期は2025年1月9~14日。対象者は全米の有権者1,500人。
(松岡智恵子)
(米国)
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