ロシア進出日系企業実態調査、厳しいビジネス環境続く中、赤字増加は一服

(ロシア)

調査部欧州課

2024年12月05日

ジェトロは12月5日、「2024年度 海外進出日系企業実態調査(ロシア編)」の結果を発表した。2024年の営業利益見込みについて、「赤字」と回答した企業は前年比7.3ポイント減の47.5%で、2022年以降3年連続で「赤字」を見込む企業の割合が最大となった。ウクライナ情勢を受け、「事業停止状態となっているため」「制裁や規制により、輸入販売ができないため」といったコメントが多くみられた。「黒字」を見込む企業は0.4ポイント増の30.5%で、過去最低を更新した前年からほぼ横ばいだった。

前年と比較した2024年の営業利益見込みについて、「悪化」と回答した企業は前年比27.4ポイント減の37.9%だった。悪化する理由については、輸出体制や現地市場での販売体制の縮小、現地市場での需要減少などが挙がった。2025年の営業利益見通しは、約9割の企業が「横ばい」(48.3%)、または「悪化」(41.4%)と回答した。

今後1~2年の事業展開について、「第三国(地域)へ移転、撤退」と回答した企業は13.8%(前年比0.3ポイント減)と、過去最高を更新した前年から横ばい。「縮小」と回答した企業は24.1%(4.1ポイント減)、「現状維持」が58.6%(5.1ポイント増)、「拡大」が3.4%(0.8ポイント減)だった。「第三国(地域)へ移転、撤退」を選択しなかった企業50社に現在の状況を尋ねたところ、34.0%の企業が「事業継続意欲があり、仮に情勢が悪化しても残留を希望」、42.0%の企業が「すぐに撤退する計画はないが、情勢を様子見している状態」と回答した。

現地で製品・サービスの販売をしていると回答した26社に対し、最大の競争相手を聞いたところ、地場企業(38.5%)、中国企業(30.8%)、欧州企業(15.4%)の順で多かった。2019年度調査での類似設問(注)では、日系企業がトップで34.3%、次に地場企業と欧州系企業(それぞれ23.5%)だった。中国系企業は4.9%で、ロシア市場での中国企業の台頭がうかがえる。

96.6%の企業が、西側諸国による対ロ経済制裁と、それに対するロシアの対抗措置について、「影響あり」と答え、具体的には「現地市場での売上減少」(64.9%)、「日本本社におけるロシアビジネスのプライオリティ低下」(61.4%)といった影響があるとした。

今回の調査は2024年9月に実施した。ロシアに現地法人(日本からの直接投資または間接出資比率が10%以上)や支店の形態で拠点を構えている企業83社に送付し、59社(製造業14社、非製造業45社)から回答を得た。調査結果の詳細はジェトロ・ウェブサイトに掲載されている。

(注)2019年度調査では、製品・サービスの販売有無の条件は設けず、全ての回答企業102社に対する設問。

(柴田紗英)

(ロシア)

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