2025年の最低賃金、月額208ドルに決定
(カンボジア)
プノンペン発
2024年10月02日
カンボジア労働・職業訓練省は9月20日、2025年の最低賃金を月額208ドルに改定する省令第211号を発表した。現行の204ドルより4ドル(2.0%)の引き上げで、新たな最低賃金は2025年1月1日から適用する。適用業種は従来どおり、衣料品や靴、旅行用かばんなどの製造業だが、他分野の製造業もこれにならって適用されるのが通例となっている。
最低賃金は、労働組合と雇用者団体(カンボジア縫製・製靴・旅行用かばん協会、カンボジア製靴業協会、カンボジア日本人商工会など)、政府の3者からそれぞれ17人(合計51人)の代表者を選出して構成する最低賃金諮問委員会で議論する。今回は同委員会に206ドル、208ドル、214ドルの3案が提示され、9月19日の投票で51人中46人が206ドルに投票した。最終的にフン・マネット首相が2ドルを上乗せし、208ドルに決定した。
同委員会の議長を務めるヘイン・スアー労働・職業訓練相は「労働者は決定した金額よりも高い引き上げを望んでいたが、経済状況や産業競争力の現状を踏まえて受け入れたものだと思う」と述べた(「クメール・タイムズ」9月20日)。今回の決定を受け、カンボジア製靴業協会は「労働集約産業にとって人件費は重要だ。今回の最低賃金は新たなビジネス拡大の判断要素となり得る」と話した(ジェトロのヒアリング9月26日)。
なお、物価上昇率は2022年に5.4%まで上がったが、2023年には2.1%に落ち着いた。2024年は0.5~2.3%程度の上昇が予測されている(注)。
(注)2024年のカンボジアの物価上昇率は、アジア開発銀行(ADB)が0.5%、IMFが2.3%、シンガポールにある国際機関「ASEAN+3マクロ経済調査事務局」(AMRO)が2.2%と予測している。
(山口乗子)
(カンボジア)
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