IMF、ロシアの2024年経済見通しを上方修正
(ロシア)
調査部欧州課
2024年10月25日
IMFは10月22日、世界経済見通しを発表した(2024年10月24日記事参照)。ロシアの実質GDP成長率について、2024年は3.6%、2025年は1.3%になると予測している。前回見通し(2024年7月23日記事参照)と比較して、2024年は0.4ポイント上方修正したが、2025年は0.2ポイント下方修正した。
IMFによる2024年の見通しは、ロシア経済発展省の見通しを下回り、ロシア中央銀行の見通しの範囲内に収まる。経済発展省は9月24日、実質GDP成長率の見通しについて、2024年は3.9%、2025年は2.5%とし、4月時点の見通し(2024年5月1日記事参照)と比べて、それぞれ1.1ポイント、0.2ポイント引き上げた。中銀が7月26日に発表した中期予測によると、2024年の実質GDP成長率は3.5~4.0%、2025年は0.5~1.5%、2026年は1.0~2.0%としている。ロシア経済は2025~2026年に成長が鈍化するが、投資需要は引き続き安定的に増加するとしている。
一方、世界銀行は10月17日に発表した欧州・中央アジア経済見通しで、2024年のロシアの実質GDP成長率を3.2%、2025年は1.6%、2026年は1.1%と予測した。2024年6月に同行が発表した世界経済見通しと比較して、2024年は0.3ポイント、2025年は0.2ポイントそれぞれ上方修正し、2026年は据え置いた。その理由として、消費者心理が好調なことや、実質所得の増加や防衛、インフラを含む政府支出の大幅な増加により、成長率が潜在成長率を大きく上回っていることを挙げた。他方で、政策金利の引き上げ(2024年9月20日記事参照)や、生産能力と労働力の制約が拡大していることにより、2024年の成長率が前年の3.6%と比べて鈍化すると指摘した。
(小野塚信)
(ロシア)
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