パキスタンで最大規模のテキスタイル展開催
(パキスタン)
カラチ発
2024年10月25日
パキスタンで最大級の規模とされるテキスタイル展「TEXPO 2024」が、カラチで10月23日に開会した。既製服、布地、皮革などの分野で地元企業を中心に210の出展者があり、最終日の25日までに約60カ国からバイヤーやインポーターの来場が見込まれている。同展示会は、パキスタン貿易開発庁(TDAP)が国内繊維関連産業の地盤強化と国際的なプレゼンス向上を目的に2016年に開始し、新型コロナ禍期間中の数年の休止を経て、今回が第5回となる。
23日の開会セレモニーで登壇したジャム・カラム・カーン商業相は、パキスタンの繊維・皮革産業が、官民連携のもと製品の高付加価値化や多様化によって強化され、国際的に競争力を高めることができると言及。また、この展示会で企業同士の関係を強化し、新たなパートナーシップを構築する絶好の機会になるだろうと発言した。
パキスタン中央銀行の統計によると、同国の2022/2023年度(2022年7月~2023年6月)のテキスタイル関連輸出額は166億3,300万ドル(総輸出額の59.6%)、2023/2024年度には163億3,090万ドル(同52.7%)となっている。同国の輸出額全体の5割以上がテキスタイル関連製品(既製服、ニット、タオル、織物、布地、綿製品など)で占められ、外貨獲得の筆頭手段となっている。TDAPは、展示会を通じて海外からの新たな生産の受注や、テキスタイルの未開拓分野への地場企業の参入などを狙っている。
同展示会に出展するYKKパキスタンのマネジングディレクターの山口仁史氏は「パキスタン国内の多くの繊維関連工場のうち、特にジーンズのライン稼働率は良好でフルに近い。バングラデシュの情勢不安などもあり、欧米の有名ブランドから、パキスタンの生産強化について相談もある」と、サプライチェーンの変化について触れた。
また、多数の傘下企業を束ねるかたちで出展するパキスタン既製服生産輸出協会(PRGMEA)の幹部は「米中貿易摩擦やバングラデシュ情勢の影響で、パキスタンへ発注シフトの傾向が見られる。協会メンバー企業は、顧客のニーズに沿ってニットやデニムを含めて多種多様なテキスタイル製品を生産できる。しかも工場のグリーン対応・労働者の健康安全対応などで多種の認証を取得し、欧米向け輸出に対応できている。日本企業ともぜひ協業の可能性を追及したい」と期待を述べた。
開会当日の夜には、カラチ中心街のホテルでTEXPOのスピンオフ・イベントとしてファッションショーが開催された。多数の海外バイヤーや地場企業の担当者が鑑賞するなか、日本から参加したデザイナーが、着物をモチーフにしたドレスのコレクションを発表して盛り上がりを見せた。TEXPO主催者の関係筋によると、「パキスタンの繊維産業は従前から欧米の著名ブランドの高付加価値製品に対応してきたが、今後はよりデザイン性の高いプレタポルテの受託生産の分野にも取り組む」という。日本に対しても、引き続きパキスタンのテキスタイル業界のポテンシャルについてアピールしていきたいと述べた。
(糸長真知)
(パキスタン)
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