チリのEC市場は高成長見込み、越境ECは中国が存在感
(チリ、中国)
サンティアゴ発
2024年10月22日
サンティアゴ商工会議所(CCS)は10月15日、主催するイベント「Eコマースイノベーションサミット」において、チリにおける電子商取引(EC)市場の傾向を発表した。
2023年のチリにおけるEC化率は15%で、日本の12%を上回る水準にある。また、2024年第3四半期(7~9月)において、最近1カ月間にオンラインで何らかの商品やサービスを購入した人の割合は66%にのぼった。カテゴリー別では、衣服、テクノロジー、美容とパーソナルケア、食品などの購入が多い。購入サイト別では、大型小売店のECサイト(64%)、マーケットプレイス(38%)、スーパーマーケットのECサイト(36%)、海外のECサイト(33%)の順に多かった。
越境ECでは中国企業の存在感が大きく、2024年第3四半期における購入サイト別の割合ではアリエクスプレスが最多の30%、シーインが15%、テムが10%だった。チリの消費者が価格を重視する傾向にある中で、中国企業の価格戦略が支持を得ているとみられる。そのほか、米国のアマゾンが10%、アルゼンチンのメルカドリブレが8%を占めた。
なお、チリで2024年9月25日に成立した税務コンプライアンス法には、越境ECでの41ドル以下の貿易における19%の付加価値税(IVA)免除措置を廃止する旨の内容が含まれている。国内の商品との不公平性を解消し、また、インボイスにおける金額の過少申告による脱税を阻止する狙いだ。今後、同法律が施行された際には影響が出ることが見込まれるが、国内商品と同じ条件でも競争力はあり、外国のEC事業者は引き続き重要な役割を果たすとみられている。
また、2024年9月30日から10月2日までのサイバーマンデー期間中の売上高は、過去最高の4億4,700万ドルを記録した。取引件数は440万件を超え、購入1件当たりの平均金額は2023年の92ドルから101ドルに増加した。中でも、観光・旅行分野が前年比40%増となり、売上高全体の30%を占めた。
サンティアゴ商工会議所は、2024年のEC売上高を115億ドル、2024年から2029年までの年平均成長率を13.2%と予測しており、潜在的な成長性が顕著な市場と見ている。
(大塚優希)
(チリ、中国)
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