英政府、小規模企業支援策として支払い遅延対策を発表
(英国)
ロンドン発
2024年10月09日
英国政府は9月19日、企業の支払い慣行に関し新たな対策を講じると発表した。小規模企業・個人事業主への支援、および企業のキャッシュフローの改善による経済成長への貢献を目的としている。
小規模企業連盟(FSB)は、2022年で四半期ごとに中小企業の52%が支払い遅延に悩まされており、中小企業が直面する最大の課題の1つとなっているとした。
このため、政府は新たな対策の一環として、大企業に対して年次報告書に支払い報告を義務付け、小規模企業への対応について明確に開示する責任を課すと発表した。
ジョナサン・レイノルズ・ビジネス・通商相は「支払いの遅れによりキャッシュフローが枯渇すると小規模企業は倒産してしまう。だからこそ、大企業に支払い慣行に関して責任を負わせ、成長と雇用を支える環境を育む必要がある」とコメントしている。
また、企業向けの自主的な行動規範である既存の即時支払い規範(Prompt Payment Code、注)に代わる新たな「公正支払い規範(Fair Payment Code)」も導入する予定と発表した。企業は、政府により設置された独立機関である小規模企業コミッショナー事務局に対してステータス取得を申請する際、良好な支払い基準を満たしていることを証明する必要があり、支払い慣行に応じて、次の3つのステータスが付与される。
- ゴールド:サプライヤーの95%に30日以内の支払いを行う企業
- シルバー:小規模企業サプライヤーの95%に30日以内の支払い、その他のすべてのサプライヤーに60日以内の支払いを行う企業
- ブロンズ:サプライヤーの95%に60日以内の支払いを行う企業
申請手続きの詳細と申請を希望する企業向けのガイダンスは、2024年中に公開される予定。
政府は、小規模企業や大企業、またFSBなどの団体と緊密に協力し、企業に過度の負担をかけないようにしながら、支払い遅延を防ぐための追加措置を検討するとした。
(注)2008年12月に制定された、小規模企業コミッショナー事務局(OSBC)が管理する企業向けの自主的な行動規範。正当な理由なく請求書への支払いが遅れた場合にはサプライヤーが遅延利息や手数料を請求する権利など、企業とサプライヤー間の支払いについての基準を定めている。
(松丸晴香)
(英国)
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