国内初のデング熱ワクチン接種サービス開始、武田薬品のワクチンを使用
(ベトナム)
ホーチミン発
2024年10月09日
ベトナム・ワクチン社(VNVC)は9月20日、ベトナム国内初のデング熱ワクチン接種サービスを開始した。VNVCが全国で展開するワクチン接種センター約200カ所で接種を受け付ける。使用されるワクチンは武田薬品工業のデング熱ワクチン「キューデンガ(QDENGA)」で、2024年5月にベトナム保健省に承認されたものとなる(2024年6月5日記事参照)。
同ワクチンの対象年齢は4歳以上で、過去のデング熱の罹患(りかん)歴の有無にかかわらず、接種前の検査は不要で、3カ月間隔で2回0.5ミリグラム(mg)の皮下接種を行う。これまでにEU、英国、ブラジル、アルゼンチン、インドネシア、タイ、マレーシアなど20カ国・地域以上で接種可能となっている。同ワクチンはデング熱を引き起こす4種類のデング熱ウイルス(DEN-1、DEN-2、DEN-3、DEN-4)の全てを予防するのに効果的で、最大80%の有効性があり、入院リスクを防ぐとされている。デング熱は2回目の感染が1回目の感染より重症化することが多く、同ワクチンは再感染防止にも効果がある。
デング熱は、ネッタイシマカやヒトスジシマカと呼ばれる蚊が媒介するウイルス性疾患で、発生地域が125カ国・地域以上に及ぶ。保健省の統計によると、2024年の年初から8月18日時点までで5万2,957人の感染者、そのうち6人の死者が確認されており、前年同期比で感染者数は15%減、死者数は10人減少した(ベトナム・プラス8月18日)。
ホーチミン市第1小児病院デング熱部門長のグエン・ミン・トゥアン氏は「デング熱ワクチンが重篤な合併症の患者数などを減少させるのに役立ち、病院が非感染性疾患の治療にリソースを集中できるようになることを期待している」と述べた(ティントゥック9月20日)。
(新田和葉)
(ベトナム)
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