インドネシア、CPTPPへの加入を申請
(インドネシア)
ジャカルタ発
2024年10月10日
インドネシア経済担当調整省は9月25日、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)への加入を、寄託国であるニュージーランドに9月19日付で申請したと発表した。また、アイルランガ・ハルタルト経済担当調整相は9月25日、CPTPPに加入する12カ国(注)の在インドネシア大使らを同省に招待し、同国のCPTPP加入への支持を要請した。
アイルランガ経済担当調整相はCPTPPへの加入申請について、5月に加盟ロードマップが採択されたOECDへの加盟プロセス(2024年5月13日記事参照)を、国内改革促進の観点から補完するものだとしつつ、「インドネシア国内の構造改革推進だけでなく、市場の開放も目的」と強調した。また、2024年12月15日までの新規加入(加入議定書の発効)を控える英国の加入プロセス期間を引き合いに、「2年半以内の加入を実現する」と述べた。
さらに、同相はCPTPPに加入するメリットとして、カナダ、メキシコ、ペルー、英国などの自由貿易協定(FTA)未締結国を含めた域内貿易が促進されることにより、インドネシアの輸出が19%増加すると述べ、カナダやメキシコへの製品輸出を通じて、米国市場へのアクセスにも間接的につながるとした。加えて、「CPTPPの高い規律に沿ったルールにインドネシア国内法が整合的になることにより、透明性の高い投資環境が整備され、インドネシアへの外国直接投資が11%増加する予測をしている」と述べた。
グローバル・トレード・アトラスによると、2023年のインドネシアとCPTPP11カ国、英国との輸出額と輸入額を合計した貿易総額は18兆811億円で、インドネシアの貿易総額の26.8%を占める。そのうちFTA締結国との貿易額は16兆8,009億円(92.9%)、FTA非締結国(カナダ、メキシコ、ペルー、英国)との貿易額は1兆2,802億円(7.1%)だった(2024年5月10日記事参照)。
インドネシアはOECDへの加盟プロセスを推進するほか、2024年5月にはペルーとの包括的経済連携協定(IP-CEPA)、9月には湾岸協力会議(GCC)とのFTAの交渉を開始するなど積極的な対外経済政策を実施している(2024年9月20日記事参照)。
(注)12カ国は日本、メキシコ、シンガポール、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、ベトナム、ペルー、マレーシア、チリ、ブルネイ、英国(12月15日までに発効予定、2024年8月30日記事参照)を含む。
(大滝泰史)
(インドネシア)
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