日本の品質とサービスを提供、国内唯一の本格ラーメンの店「TAKUMI」に聞く
(バングラデシュ)
ダッカ発
2024年10月07日
バングラデシュは人口1億7,000万の大市場としての関心が高く、特に食品やサービス産業への期待は大きい。現地では珍しい日本の本格ラーメンを国内で唯一提供する店として、2022年にダッカに日本食レストラン「匠-TAKUMI」を開業した日系企業TAKUMIの佐々木洋平社長、喜久山章太マネージャーに現状を聞いた(インタビュー:10月3日)。概要は次のとおり。
(問)TAKUMIの特徴や工夫している点はなにか。
(答)日本食材などが手に入りづらい現地でも、日本と変わらない品質・味とサービスの提供を目指している。日本でも飲食店を展開しているが、日本と比較して3倍以上の時間と手間をかけて仕込みを行っている。イスラム教徒が大多数を占めるバングラデシュでは、特にラーメンはスープのかえしのメインであるみりんが使えず、代用となる調味料も現地では手に入らない。そのため、現地で入手可能な調味料をすべていったん日本に持ち帰り、多くのラーメンオーナーたちの協力のもとで現地調味料のみを用いて作ったレシピを完成させた。基本的な味付けは現地客に合わせることはせず、トッピングや味を変化させるためのアイテムなどで辛さなどを調整できるようにしている。また店舗の内装は、木を多用することで日本をイメージしやすくなるように配慮した。
(問)現地顧客からの反応はどうか。
(答)現地で本格的なラーメンを食べられるのはTAKUMIしかなく、ラーメンを目的に来店するバングラデシュ人の顧客が全体の半分程度を占める。ラーメンの評判は非常に良く、リピーターも多い。最近では、フードデリバリーを展開するフードパンダの「フードパンダ賞」を受賞したほどだ。
一方、現地においては、本来とは異なる日本食が広まっているため、本物の日本食を知る顧客からは、TAKUMIで提供している寿司(すし)にもさらに力を込めてほしいなどの反応もある。また、現地では入手できない刺し身を所望されることも多い。富裕層かつ年配の場合、肉よりも魚を食べたいという希望も多い。サバやホッケが手に入らないため、現地で手に入る川魚をどのように日本風に提供できるかが目下の課題だ。
(問)バングラデシュでの将来の計画は。
(答)「日本食といえばTAKUMI」というブランディングを構築していきたい。まずはダッカ管区内で5店舗の展開を目指したい。また、現在、ラーメンは一杯900タカ(約1,080円、1タカ=約1.2円)(税・サービス料別)から提供しているが、将来的には200~350タカのラーメンを提供するような、低価格の別ブランドのレストラン展開も検討中だ。ゆくゆくは、TAKUMIブランドでの食品加工や即席麺などの展開が夢だ。
(安藤裕二)
(バングラデシュ)
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