次期政権の省庁数増加へ、官僚主義拡大による投資環境悪化を懸念する声も

(インドネシア)

ジャカルタ発

2024年10月09日

インドネシアでは、9月19日の国会本会議で、省庁数を規定する国家省庁法(2008年第39号)の改正案が可決された(「ビスニス」9月19日)。

同法は中央省庁の設置基準などを定める法律で、設置可能な中央省庁の数の上限を撤廃しようというのが改正案の狙いだ。上限撤廃の背景には、10月20日に大統領に就任する予定のプラボウォ・スビアント氏が省庁数を増加させる方針を示したことがある。プラボウォ氏は内閣の構成や政権の規模を明らかにしていないが、複数の現地紙によれば、現在の公共事業・国民住宅省を分割して公共事業省、住宅省として独立させるなど、省庁の新設、再編を行い、省庁の数を現在の34から44に増加させる可能性が示唆されている。

政府の動きに対して、産業界や識者からは、官僚主義の増大や財政負担の増大を懸念する声があがっている。在インドネシア英国商工会議所は「省庁の数を増加させることで、より特定の分野に焦点を絞った対策を行うことができ、より良い統治が実現される可能性がある一方、官僚主義の増大や規制の複雑化といったリスクもはらんでいる」と述べた。また、パラマディーナ大学のエコノミストのウィジャヤント・サミリン氏は「省庁の増設は、行政の非効率性を招き、規制の策定と実施における調整を複雑化させ、企業は大きな打撃を受けるだろう」と述べた。また、「もしプラボウォ氏が慎重さを欠けば、許認可のプロセスはより複雑化、長期化し、その結果、われわれのビジネス環境は悪化するだろう」とした(「ジャカルタポスト」9月29日)。インドネシア経済法律研究センター(CELIOS)のビマ・ユディスティラ所長も「省庁の追加は官僚機構を複雑にするとともに、支出を増加させ国家予算に負担をもたらすだろう」と延べた(「テンポ」9月16日)。

(八木沼洋文)

(インドネシア)

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