中銀、政策金利を21%に引き上げ、3会合連続の利上げ
(ロシア)
調査部欧州課
2024年10月31日
ロシア中央銀行は10月25日に行われた金融政策決定会合で、主要政策金利(キーレート)を19.0%から21.0%とすることを決定し、28日から適用した(添付資料図参照)。9月に続き、3会合連続の引き上げとなった(2024年9月20日記事参照)。中銀の予想を大幅に上回るインフレ率を、2025年末までに目標の4%に抑制するのが狙い。
ロシア中銀のエリビラ・ナビウリナ総裁は10月25日の記者会見の中で、利上げの理由を説明した。インフレ率が高い水準にあり、消費や投資需要が沈静化していないこと、労働力不足による供給面での制約がある中、内需が高い水準が続いていることなどを挙げた。
ナビウリナ総裁は、価格変動の大きい食品とエネルギーを除くコアインフレ率が9%を超えたと指摘した。高まるインフレ圧力の要因として、小売りを中心に企業のインフレ期待が上昇していること、住宅および公共料金、鉄道輸送料金の上昇を挙げた。
ナビウリナ総裁によると、需要面では、消費活動が依然として高い水準にあり、企業もさらなる投資の拡大を見込んでいる。政府が2024年実施で検討を進めている1兆5,000億ルーブル(約2兆4,000億円、1ルーブル=約1.6円)の追加の財政支出も、需要やインフレ圧力を助長する要因となると警鐘を鳴らした。供給面では、深刻な労働力不足や、物流やサプライチェーンの複雑化により制約が存在するため、物価上昇圧力が生じていると説明した。
ロシア中銀は、10月21日時点で年間インフレ率が8.4%と高い水準で推移しており、2024年末のインフレ率は8.0~8.5%に達する可能性が高いとしている。中銀が25日に発表した中期予測によると、インフレ率は2025年には4.5~5.0%に低下し、その後は4%近くで推移する見通しだ。
ナビウリナ総裁は、2025年末までにインフレ率を目標の4%の水準で安定させるため、必要に応じて保守的に対応する考えを示した。政策金利の見通しについて、2024年は平均で17.5%、2025年は17.0~20.0%、2026年は12.0~13.0%となり、2027年には7.5~8.5%に落ち着く見通しだと説明した。
中銀はインフレ率を目標の4%に戻すために、2024年12月20日に予定されている次回の金融政策決定会合で追加の利上げを検討するとしている。
(小野塚信)
(ロシア)
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