ジェトロ、米テネシー州西部に医療機器製造・物流の投資環境視察ミッション派遣

(米国)

アトランタ発

2024年10月28日

ジェトロは10月21~22日、米国テネシー州西部のメンフィス地域に日本企業の投資環境視察ミッションを派遣した。同州のグレーターメンフィス商工会議所の協力を得て実施し、製造や物流会社、商社などから11人が参加した。

メンフィスには、著名な医療研究機関や物流ハブがあり、医療機器製造業が集積している(2024年5月16日付地域・分析レポート参照)。今回は、グレーターメンフィス商工会議所、メンフィスで医療機器を製造する米オデッセイ・メディカル・テクノロジーズと米グレイスメディカル、大手医療機器メーカーの米メドトロニック、セント・ジュード小児研究病院、物流大手のフェデックス・エクスプレスのワールドハブを視察した。

最初に、グレーターメンフィス医療機器委員会(GMMDC)より、同地域の医療機器産業の概況について説明を受けたのち、業界の動向や同地域の課題などをテーマに医療機器製造企業3社によるパネルディスカッションが行われた。

写真 グレーターメンフィス商工会議所への訪問(ジェトロ撮影)

グレーターメンフィス商工会議所への訪問(ジェトロ撮影)

写真 セント・ジュード小児研究病院への訪問(ジェトロ撮影)

セント・ジュード小児研究病院への訪問(ジェトロ撮影)

メンフィスで医療機器を製造するオデッセイ・メディカル・テクノロジーズやグレイスメディカルでは、事業内容などの説明を受けたほか、製造工程を視察した。グレイスメディカルでは、微小部品の製作、加工、検品が顕微鏡を使って手作業で行われる様子を見学し、ミッション参加者から驚きの声が出た。

メドトロニックでは、同社の最新の配送センターを視察し、ロボットなどで自動化された梱包(こんぽう)、出荷作業を見学した。同社は、メンフィスに拠点を置く理由として、フェデックスのハブが近く利便性が高いほか、医療機器製造業も集積しており、物流と医療機器製造で熟練労働者を確保しやすい点を挙げた。

写真 オデッセイ・メディカル・テクノロジーズへの訪問(ジェトロ撮影)

オデッセイ・メディカル・テクノロジーズへの訪問(ジェトロ撮影)

フェデックスのワールドハブでは、小型荷物の仕分け施設や輸送機の飛行状況を管理するモニタリングルームのほか、同社のパイロットが飛行訓練を行うシミュレーション装置などを見学した。同ハブでは700機以上が運用されており、220カ国以上を対象に、1日当たり平均15万個の荷物を取り扱っている。次々と着陸する輸送機や高速で仕分けされる大量の荷物に、参加者からは驚きの声が絶えなかった。

写真 フェデックス・エクスプレスのワールドハブへの訪問(ジェトロ撮影)

フェデックス・エクスプレスのワールドハブへの訪問(ジェトロ撮影)

グレーターメンフィス商工会議所のテッド・タウンゼント会頭兼最高経営責任者(CEO)は、メンフィス経済の中心が、長年にわたり自動車、物流、ロボティクス、材料科学といった製造業にある点に触れ、「日本は成長の重要なパートナーで、これまで築いてきたものを基に今後も関係を構築していきたい」と述べた。ミッション参加者からは、「ビジネスインフラが想像以上に整っていると感じた」「自社の業界の狭い中で井の中の蛙(かわず)になっていたことをあらためて気づかされた」「グレーターメンフィス商工会議所の熱心さが伝わった」といった声が聞かれた。

(横山華子)

(米国)

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