アンドラ・プラデシュ州、新産業開発政策を発表
(インド)
チェンナイ発
2024年10月29日
インド南部アンドラ・プラデシュ(AP)州政府は10月26日、新たな産業開発政策を発表した。6月に州首相に返り咲いたナラ・チャンドラバブ・ナイドゥ首相は就任100日以内の新産業政策の策定を指示しており(2024年8月13日記事参照)、産業開発政策はその一部を構成するもの。
産業開発政策によると、対象期間は2029年までの5年間で、達成目標として、付加価値生産額を現状の2024年度(2024年4月~2025年3月)の3兆4,000億ルピー(約6兆1,200億円、1ルピー=約1.8円)から7兆3,000億ルピーに、国外からの直接投資(FDI)受入額を過去5年の8億ドルから100億ドルに引き上げ、50万人の雇用を創出、輸出を2024年度の200億ドルから400億ドルに増やすことを目指す。
目標達成のため、(1)対象産業の絞り込み、(2)生産コストの削減、(3)事業環境の改善を加速する措置の導入、(4)中堅中小企業・起業家の支援、(5)財政面での優遇策導入、を実施していく。
対象産業としては、持続セクター(Sustenance Sectors)と推進セクター(Propelling Sectors)に分け、前者は自動車、化学・石油化学、食品加工、ライフサイエンス・製薬、医療機器、テキスタイル・アパレル・履物などを対象とし、後者は航空・防衛、電気自動車(EV)・バッテリー、バイオテクノロジー、再生可能エネルギー、港湾・ロジスティクス、造船、半導体・エレクトロニクスなどが対象となる。
生産コスト削減のためには、工業用地の集約や、電力・水・道路インフラの効率化、社会インフラの効率化、公共料金・税金の合理化、労働生産性の向上を挙げている。
財政的支援策としては、優遇対象となる投資にいついて、設備投資額により、小規模(5億ルピー超~50億ルピー)、大規模(50億ルピー超~100億ルピー)、メガラージ(100億ルピー超~500億ルピー)、ウルトラメガラージ(500億ルピー超)に分類する。投資補助金や中央政府の生産連動型優遇策(PLI)スキームを獲得した企業への追加補助金、雇用数に応じた補助金、現地調達補助金、電力料金や州物品・サービス税(SGST)の還付などを提供する。
これらを実行するに当たり、州首相を議長とする州投資促進会議(SIPB)を設立して、月例の会議を開催し、投資促進活動を進める。また、州首席次官を委員長とする州投資促進委員会(SIPC)を設立、SPIB同様に月例で会議を開催し、投資円滑化政策、大規模投資案件の実行、認可など、投資関連政策についてSPIBに対し助言することとしている。
(白石薫)
(インド)
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