ASEANの経済相が主要パートナーと会合、DEFAや脱炭素を支援へ

(ASEAN、ラオス、日本、中国、米国、EU、韓国、香港)

バンコク発

2024年10月02日

第56回ASEAN経済相会合(AEM)に伴い、中国や米国、日本などの対話パートナー(注)を中心としたASEAN域外国・地域の経済相との会合が9月17日から22日にかけて、ラオスのビエンチャンで実施された。各主要国・地域との会合概要は次のとおり。

  • 中国商務部との会合(AEM-MOFCOM):ASEAN中国の自由貿易協定(FTA)の改正交渉(ACFTA 3.0)の大きな進展を歓迎し、10月に予定されるASEAN中国サミットで実質的に妥結する計画を確認した。ASEAN事務局の2023年の統計によると、中国はASEANにとって最大の域外貿易パートナー(貿易総額:6,967億ドル)だ。また、ASEANへの外国直接投資額(ネット、フロー)では、国・地域別で第3位(173億ドル)となっている。
  • 米国通商代表部(USTR)との会合(AEM-USTR):2006年に調印したASEAN・米国貿易投資枠組み協定(TIFA)や、2012年からのASEAN 経済関与強化イニシアチブ(E3)といった既存の枠組みを通じ、デジタル経済や中小零細企業の開発、貿易円滑化支援などの進捗や行動計画を確認した。また、米国国際開発庁(USAID)によるイノベーションや電子商取引(EC)の技術支援活動などを含む地域開発協力協定(RDCA)の2029年までの延長、米国ASEANビジネス協議会(USABC)によるASEANデジタル枠組み協定(DEFA)交渉への提言などの報告があった。米国はASEANにとって第2位の貿易相手(3,959億ドル)で、最大の投資家(743億ドル)でもある。
  • 欧州委員会通商担当委員との会合(AEM-EU):EU・ASEANサステナブル連結性パッケージ(SCOPE)貿易とEU・ASEANグリーンイニシアチブなどの新施策を歓迎した。これらを通じ、貿易政策、デジタル連結性、持続的で強靭(きょうじん)なバリューチェーンといったテーマに焦点を当て、連携を深める。また、ASEANの推進するDEFAやASEANカーボンニュートラル戦略などを支援する。EUはASEANにとって第3位の貿易相手(2,797億ドル)、第2位の投資家(248億ドル)。
  • 日ASEAN経済相会合(AEM-METI)は9月21日に実施(2024年9月30日記事参照)。日本はASEANにとって第4位の貿易相手(2,394億ドル)、第5位の投資家(145億ドル)。
  • 韓国との会合(AEM-ROK):ASEAN韓国物品貿易協定(AKTIGA)の第3改正議定書が2023年11月に全締約国で発効したことを歓迎。韓国はASEANの第5位の貿易相手(1,966億ドル)、第6位の投資家(109億ドル)。
  • 香港(中国)との会合(AEM-HKC):ASEAN香港FTA(AHKFTA)の改正第1議定書に全締約国が署名したことを歓迎し、早期実施への期待を表明した。投資協定(AHKIA)についても、改正第1議定書の策定に向けた作業の開始を確認した。香港はASEANにとって第7位の貿易相手(1,174億ドル)、第4位の投資家(150億ドル)。

(注)ASEANの対話パートナーは、オーストラリア、中国、インド、日本、米国、カナダ、EU、ニュージーランド、韓国、ロシア、英国の11メンバー。

(北見創)

(ASEAN、ラオス、日本、中国、米国、EU、韓国、香港)

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