タイ中銀、政策金利を2.25%にサプライズ引き下げ

(タイ)

バンコク発

2024年10月18日

タイ中央銀行(BOT)は10月16日、金融政策委員会(MPC)を開催し、政策金利を現行の2.50%から2.25%に引き下げることを決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

MPCは賛成5、反対2の多数決で今回の引き下げを決定し、大半が借り手の債務返済の負担を軽減するため、引き下げに賛成した。BOTは2023年9月に2.50%に引き上げて以降、5会合連続で政策金利を維持しており、ロイターが11日に行ったアンケート調査によると、エコノミスト28人のうち4人だけが利下げを予想したことから、今回は予想外の利下げとなった。一方で、引き下げに反対した2人は、これまでの政策金利が経済情勢やインフレ見通しに整合的で、不確実性がある状況下で金融政策の余地を維持すべきと主張した。

BOTのプレスリリースによると、タイのGDP成長率は2024年に2.7%、2025年に2.9%成長すると見込まれ、6月時点の予測(2024年2.6%、2025年3.0%)から大きな変更はない。とりわけ観光業と同国政府の景気刺激策で支えられた個人消費が拡大の追い風となり、電気・電子産業への高い需要による輸出の改善も、タイ経済を押し上げるとした。他方、経済回復は業種によって差があり、特定分野の輸出や生産、中小企業は経済の構造的な問題の影響を受けるだろうとした。

また、ヘッドラインインフレ率(総合インフレ率)は2024年に0.5%、2025年に1.2%(6月予測はそれぞれ0.6%、1.3%)、コアインフレ率は2024年に0.5%、2025年に0.9%と予測し、6月の予測を維持した。なお、ヘッドラインインフレ率については、2024年末までにターゲットレンジ(1~3%)に戻ると見込まれている。

2024年最後のMPCは次回、12月18日に開催される予定だ。

(藤田豊)

(タイ)

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