米司法省、中国籍の人物が半導体製造装置の不正輸出認めたと発表
(米国、中国)
ニューヨーク発
2024年10月24日
米国司法省は10月17日、中国籍の人物が国際緊急経済権限法(IEEPA)と輸出管理規則(EAR)に違反し、不正に半導体製造装置を中国に輸出したことを認めたと発表した。連邦大陪審は2020年12月に虚偽の電子輸出情報の提出や密輸など、IEEPA違反の容疑で当該人物を起訴していた。
司法省の発表によると、当該人物は2015年に中国・四川省成都市に拠点のある成都高石科技(GaStone Technology)がEARのエンティティー・リスト(EL)に掲載されていると知りながら、同社のために事前の輸出許可なくウエハー切断機を輸送した。その際、江蘇省南京市に本社を置くJHI(Jiangsu Hantang International Trade Group)という企業を仲介者とすることで、成都高石科技が最終使用者(エンドユーザー)であることを隠蔽(いんぺい)した。ELは、米国政府が「米国の国家安全保障または外交政策上の利益に反する行為に携わっている、またはその恐れがある」と判断した団体や個人を掲載したリストで、それらに米国製品(物品、ソフトウエア、技術)を輸出・再輸出・みなし輸出などを行う場合には、米国商務省産業安全保障局(BIS)の事前許可が必要となる(ただし、許可申請をしても多くの場合は、原則不許可の審査方針が取られる)。IEEPA違反に対する量刑は最大20年の懲役および100万ドルの罰金となっている。なお、当該人物は現在、保釈されている。
米国政府は近年、輸出管理について、国家安全保障や経済安全保障上で重要な政策と位置付けている。特に半導体分野では、他の分野と比べて厳しいルールを設定しているほか(2024年4月8日記事参照)、BISで輸出管理の執行を担当するマシュー・アクセルロッド次官補が「半導体ほどわれわれにとって優先順位の高い技術はない」と述べるなど(2024年5月10日記事参照)、執行面でも強化している。
(赤平大寿)
(米国、中国)
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