米CNN、ハリス氏の対話集会を激戦州ペンシルベニアで開催

(米国)

ニューヨーク発

2024年10月25日

11月5日の米国大統領選挙の民主党候補カマラ・ハリス副大統領は10月23日、米国メディア大手CNNが主催したタウンホール・ミーティング(対話集会)に参加した。投票先を決めていない有権者を招いて激戦州PDFファイル(650KB)のペンシルベニア州で行われ、全米に生中継された。当初、ハリス氏と共和党の大統領候補のドナルド・トランプ前大統領による討論会が計画されていたが、トランプ氏が参加を断ったため、ハリス氏のみが参加して開催された。

ハリス氏は、司会からの質問に答えるかたちで、トランプ氏をファシストだと考えていると述べ、同氏との対決姿勢を強めた。自身とジョー・バイデン大統領との違いについては、「私の政権はバイデン政権の継続ではない」「私は多くの問題について、新しい世代を代表するリーダーであり、実際に新しいアプローチを取らなければならないと信じている」と述べ、10月16日に行われたフォックスニュースのインタビューと同様の回答をした(2024年10月18日記事参照)。不法移民対策については、行政措置はあくまで短期的な解決策であり、長期的な解決には連邦議会の超党派の合意(法改正)が必要だと、これまでの考えをあらためて主張した(注1)。選挙戦の中でたびたび指摘されている、水圧破砕法(フラッキング、注2)に対する立場が以前と異なる点については、シェールガスの採掘を禁止したいわけではなく、副大統領として禁止する動きも起こしていないと話し、気候変動への対応に関する「価値観」は変わっていないと従来の主張を繰り返した(2024年9月2日記事参照)。

今回のタウンホール・ミーティングについて、米国メディアはおおむね厳しい評価を下している。議会専門紙「ザ・ヒル」(10月23日)は、「ペンシルベニア州の有権者からの質問に答える際、大部分を用意していた内容に固執した」と評した。また、ハリス氏はバイデン政権との違いを強調したが、政治専門紙「ポリティコ」(10月24日)は、「ハリス氏の発言はバイデン氏と似通っていた」と指摘した。

投票日まで2週間を切る中、激戦州の中でも最重要とされるペンシルベニア州への注目が高まっている。同州は全米平均に比べ、白人・高齢者の割合が高く、大卒以上の割合や世帯所得は若干低い。白人・高齢者が多い状況はトランプ氏の支持層に重なるものの、有権者登録数では民主党支持者が多い。ただし、ブルッキングス研究所によると、民主党と共和党の有権者数の差は2020年の68万6,000人から2024年に34万3,000人へと半減する一方、共和党と無党派の登録者数は増加している。選挙予測サイトのファイブサーティーエイト(10月24日時点)による同州の世論調査の平均は、トランプ氏支持がハリス氏を0.3ポイント上回っている。

ジェトロの特集ページ「2024年米国大統領選挙に向けての動き」では、大統領選挙に関する最新動向を随時紹介している。

(注1)バイデン政権は6月に、不法移民の入国を一時制限する大統領布告を発表している(2024年10月7日記事参照)。

(注2)石油・ガスを含む頁岩(シェール)層に酸などの化学物質が混入した水を注入して、シェールオイルやシェールガスを採取する方法。地盤への砂、水、化学薬品の注入に起因する潜在的な健康リスクを懸念する指摘もある。

(赤平大寿)

(米国)

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