見本市パビリオンに、ボリビア企業との取引のヒント
(ボリビア)
リマ発
2024年09月30日
9月29日まで開催されていたボリビア最大の総合見本市「エキスポ・クルース(Expo Cruz)」には、主催者によると、31カ国が出展した。(2024年9月24日記事参照)。外国パビリオンの出展企業へのヒアリングから、ボリビア企業との貿易取引のヒントがわかった。
この見本市では、ジェトロの調べでは、米国、EU、ブラジル、アルゼンチン、ペルーが単独パビリオンを設置し、このうち米国とEUのブースは、ボリビアにある現地代理店による参加が目立った。また、医療・健康機器の販売を手掛けるボリビア企業HPメディカルは米国パビリオンに出展していた。営業担当者はジェトロに対し「当社は輸入を手掛けているため、固定為替相場制やボリビア国内の外貨不足で厳しい面もあり、やむを得ず商品のボリビア国内販売価格の値上げを断続的に行っている状況にある。見本市を通じて商品の良さを知ってもらいたい」と話す。
一方、ペルーパビリオンでは、ほとんどがペルーからの参加だった。パビリオンを運営するペルー貿易観光促進庁(Promperú)ボリビア事務所の担当者によると、ペルー企業約80社が参加したいう。
ペルーの首都リマ市の北部から参加している中小企業でプラスチック加工業を営むA社は、既にボリビアに現地代理店(B社)があり、B社を通じた販路拡大のため出展したという。A社の製造計画部長はジェトロのインタビューに対して「B社との関係は強固で、外貨不足の心配は全くない」と話す。B社とはペルーの通貨ソルで決済を行っている。同部長によると、B社の関係者は週に1回程度、ペルーに入国する機会があり、その際にボリビアの通貨ボリビアーノをソルに両替しているという。ペルーの都市プーノで両替することが多いが、プーノでの両替が難しい時もあり、その際はB社がアレキパ、イキトスなどペルー国内の他の都市の状況を調べ、両替ができる所に出向くなど、柔軟に対応しているという。また「B社との取引に関し、ソル建て決済で困ったことはない。ボリビア市場は開拓の余地が大きい」と話す。
サンタクルス商工業サービス観光会議所(CAINCO)ボリビア経済センターのエコノミスト、ルーベン・ネルソン氏はジェトロに対し「ボリビアに外貨不足などの課題があることは事実だが、ビジネスは課題を乗り越えた先にある。例えば、ボリビア企業でも、ボリビア国内の銀行だけに頼るのでなく、第三国の銀行を利用しているケースもあるだろう」と話す。ジェトロが主催するボリビア・ビジネス環境視察ミッションでは、CAINCOや現地企業の立場からみた為替対策の現状などのレクチャーが予定されている。
(石田達也)
(ボリビア)
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