米カリフォルニア州知事、ディープフェイク関連の9つのAI法案に署名
(米国)
サンフランシスコ発
2024年09月30日
米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は9月17日から20日にかけて、ディープフェイク(注)関連の9つの人工知能(AI)関連法案に署名した。
サンフランシスコで17日に開催されたAI関連イベント「ドリームフォース」で、ニューサム知事は対談中に選挙関連のディープフェイクを規制する3つの法案(AB2355、AB2655、AB2839)に署名した。AB2355は、生成AIを用いて内容が改変された選挙広告に対し、改変した事実の開示を義務付け、AB2655は、フェイスブックやX(旧Twitter)などのオンラインプラットフォームに対し、選挙関連のディープフェイクの削除やラベル付けを義務付ける。AB2839は、選挙について生成AIで誤解を招くように改変されたコンテンツを含む広告ほか選挙資料を選挙管理委員会やその他の団体が意図的に拡散し、有権者を欺くことを取り締まるものだ。
また、同じ17日に俳優の権利を守る2つのAI関連法案(AB2602、AB1836)にも署名した。AB2602は、俳優の声や容姿をAIで再現する際、製作者に対して俳優からの許可取得を義務付け、AB1836は、故人の俳優のデジタルでの再現を遺産管理者の同意なしに作成することを禁止している。
19日には、生成AIで作成されたコンテンツに出所データの開示を義務付けるとともに、利用者に提供される無料の識別ツールによって生成AIによるコンテンツであることを検出可能とする法案(SB942)にも署名。また、ディープフェイクヌード画像の作成と拡散を違法とする2つの法律(SB926、SB981)にも署名した。SB926は、生成AIで作成したヌード画像を使用して個人を脅迫することを禁じ、SB981は、ソーシャルメディアプラットフォームに対し、ユーザーが自身に似たフェイクヌード画像を報告できるメカニズムを設けることを義務付けている。
20日には、生成AIを使用した自動音声通話の場合、その音声が生成AIで作成されたものとの情報を開示することを義務付ける法案(AB2905)に署名した。
ニューサム知事は論争の的になっているAI安全法案(SB1047、2024年8月30日記事参照)について、「ロサンゼルス・タイムズ」紙(9月17日)に対し、署名するか否かはまだ決めていないとし、「重要なことは、SB1047法案がこの分野における究極の目標というわけでもないし、全てが進化している中で、私たちが柔軟に規制を考える環境を保ち、常に改善していきたいということだ」と述べた。
(注)ディープラーニング技術を用いて偽物(フェイク)な動画などを作成すること、またその動画そのもののこと。
(松井美樹)
(米国)
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