政変後も日本企業からの大きな期待、現地日系法律事務所に聞く

(バングラデシュ)

ダッカ発

2024年09月30日

バングラデシュは日本企業からの関心が高く、進出先としても注目を集めている。バングラデシュに2021年に進出し、日本企業からの現地進出に関する相談を数多く受けるTNYリーガル・バングラデシュの藤本抄越理取締役に、政変後の現状を聞いた(インタビュー:9月26日)。概要は次のとおり。

(問)政変前後での日本企業からの問い合せの状況はどうか。

(答)政変後は安全関連の情報提供依頼や衛星電話など、安全対策用機器の設置に関する法令調査のご相談をいただいた。全体としては、政変前後で相談件数に大きな増減はなく、政変直前に進出を決めた日本企業は予定どおり手続きを進めている。企業の規模や業種によって政変の影響度は異なるものの、日本企業からバングラデシュへの期待は依然大きいと感じている。

(問)現地日本企業から相談が多い内容は。

(答)労務関連と、法律調査が多い。労務関連では、雇用契約書や就業規則のリーガルチェック、適法な解雇手続き、年次有給休暇の買い取りなどに関する相談が多い。法律調査では、外資規制と対応策、積立基金や労働者参加基金などの問い合わせが寄せられている。

(問)将来のバングラデシュへの期待は。

(答)大きく2点がある。1点目は、ルールの統一と明確化だ。同じ手続きでも担当職員によって対応が異なり、手続きや所要期間が変わるため、やってみないと分からないことが多く、法律事務所としてクライアントに対する事前のコミットが難しいことがある。2点目は、法律の見直しと確実な施行だ。法律自体は新興国としては整備されているが、施行が現実的でない規定も多く、特に中小企業の進出の阻害要因となっていると感じる。また、法律と実務が乖離しているため、法律を順守したうえで、さらに当局への確認や交渉が必要で企業の負担だ。これら2点が実現すれば、投資は促進され汚職の撲滅にもつながると考える。バングラデシュは世界第8位の人口を有し、平均年齢が若く市場の成長が見込まれること、成長率が高いこと、親日的であることなどから、投資先として魅力的であり、今後も良い方向に進むことを期待している。

写真 TNYリーガル・バングラデシュの藤本抄越理取締役(本人提供)

TNYリーガル・バングラデシュの藤本抄越理取締役(本人提供)

(安藤裕二)

(バングラデシュ)

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