国務院、サービス貿易の質の高い発展の促進に関する政策意見を発表

(中国)

北京発

2024年09月10日

中国・国務院弁公庁は9月2日、「ハイレベルな開放によるサービス貿易の質の高い発展の促進に関する意見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(国弁発〔2024〕44号)を発表した(文書は8月28日付)。

同意見はサービス貿易のデジタル化・スマート化・グリーン化の推進を加速し、サービス貿易の規模拡大、構造最適化、効率向上、機能強化を促進するため、次の5つの主要な取り組みを進めるとした。

  1. サービス貿易の制度的開放の推進
  2. 資源要素の越境流動の促進
  3. 重点分野の革新的発展の推進
  4. 国際市場の開拓
  5. サポートシステムの完備

1.では、越境サービス貿易ネガティブリスト(2024年4月2日記事参照)管理制度を整備し、ネガティブリスト対象外の越境サービス貿易については、原則的に国内外のサービスおよびサービス提供者に同等の待遇を与えるとした。また、サービス貿易に対外開放プラットフォームの牽引役としての機能を発揮させるため、国家サービス貿易革新発展モデル区を建設するとした。

2.では、外商投資企業(外資系企業)の管理職や技術者およびその随行家族、外国籍高度人材およびその科学研究補助員への各種ビザ発給や中国出入国における利便性を向上させ、条件を満たす地域が海外職業資格の認可リストを整備することをサポートするとした。また、安全で効率的かつ利便性の高いデータ越境移転を推進するとした。地域的な包括的経済連携(RCEP)協定におけるサービス貿易関連の約束および関連規則の実施徹底や「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)」などのハイレベルな国際経済貿易ルールを参照して国内のサービス貿易分野の改革を深化させることも盛り込まれた。

3.では、国際輸送サービス能力を強化し、観光関連サービス(2024年8月13日記事参照)の国際競争力を高めるとした。また、専門サービス機関(注1)の国際的サービス能力を向上させ、サービス貿易の新たな成長の原動力の育成をサポートする(注2)とした。

4.では、条件を満たす地域がサービス貿易国際協力園区を建設することをサポートするとした。また、中国国際サービス貿易交易会(CIFTIS、注3)などの重要な展示会プラットフォームとしての機能を十分に発揮させるほか、企業の海外での展示会主催・出展などをサポートするとした。

5.では、サービスの輸出における輸出増値税のゼロ税率、免税などの現行の税収政策を着実に実施するとした。また、サービス貿易の地域間協力メカニズムの構築を奨励するとした。

商務部国際貿易経済合作研究院国際サービス貿易研究所の聶平香研究員は「サービス貿易の質の高い発展は、製造企業の上下流産業への展開を推進し、貨物貿易の製品の品質向上や対外貿易の新たな原動力の育成につながる」と解説した(「上海証券報」8月30日)。

(注1)本意見では、金融、コンサルティング、設計、認証認可、法律、調停、仲裁、会計、言語、サプライチェーン、標準化などの専門サービス機関が例示されている。

(注2)国務院が2024年8月19日に開催した常務会議で示していた「金融、コンサルティング、設計、認証認可など専門サービスの国際化発展をサポートし、新たなサービス貿易成長点を作り出す」を具体化したものとなる。

(注3)北京市で開催される中国の対外開放に関する国家級の3大展示会の1つ。2024年は9月12~16日に開催予定。

(蔣春霞)

(中国)

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