企業の視点に立ったビジネス環境整備について議論、TICAD閣僚会合
(アフリカ、日本)
調査部中東アフリカ課
2024年09月03日
2025年に横浜で開催される第9回アフリカ開発会議(TICAD9)に向けた閣僚会合が8月24~25日、東京都内で開催された(2024年8月29日記事参照)。パネルディスカッションの後半では、「企業の視点に立ったサステナブルなビジネス環境整備」というテーマの議論が行われた。
登壇した日本企業からは、投資のインセンティブについて知りたいといった要望や、急な規制や制度変更について事前に情報開示してほしいとの要望が示された。さらに、都市部のインターネット普及率は向上したものの、地方との間でギャップがあるとの指摘があり、安定したインターネットと電力供給は、特にスタートアップがアフリカで展開していくには必要不可欠だとした。
また、サムライインキュベートのマネジングパートナーの米山怜奈氏は、スタートアップは利益を求めるか、ESG(環境・社会・ガバナンス)目的なのか見極めなければならないとした上で、スタートアップは利益を求めるべきだと述べた。加えて、アフリカ側の関係者に向けて、民間投資やベンチャーキャピタル(VC)を呼び込むには、SDGs(持続可能な開発目標)やESG以外の観点から市場の魅力を説明すべきだと呼びかけた。
アフリカ開発銀行(AfDB)財務担当副総裁兼CFO(最高財務責任者)のハサトゥ・ジョップ・ンセレ氏は、そのほかの改善案として資金調達のための財務制度を挙げ、「AfDBの支援には限りがあり、各国の政府資金の参入が求められる。」と述べた。また、アフリカ域内の連携が進めば、域内でのメンターシップやトレーニングの相互提供が広がり、アフリカのスタートアップが成熟し、投資を根拠づける信用強化が図れると期待を寄せた。
ジェトロの石黒憲彦理事長は「日本とアフリカをつなぎ、つなぐ力でアフリカの課題を解決していきたい」と述べ、ネットワーキングセッションに向けて「新しい協業や連携が生まれることを期待したい」とコメントした。
(吉川菜穂、坂根咲花)
(アフリカ、日本)
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