ミレイ政権のオープンスカイ政策が本格始動
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2024年08月20日
アルゼンチンで2023年12月に改正した航空法に関係する複数の施行規則が7月に公布された。これにより、ミレイ政権のオープンスカイ政策が本格的に動き始めた。
ハビエル・ミレイ大統領が2023年12月21日に公布した必要緊急大統領令(DNU)70/2023号は、多くの法律を廃止、改正した。その数の多さから、この政令は「メガDNU」と呼ばれ、民間航空政策について規定したさまざまな法律の改廃が含まれていた。具体的には、法律19030号、政令法12507/1956号、DNU1654/2002号の3つを廃止し、航空政策で国営企業アルゼンチン航空や国内航空会社を優遇する原則を廃止した。また、航空政策の詳細を定めた法律17285号(航空法)の複数の条項を改正した。同法の主な改正の内容は次のとおりだ。
- 政府がオープンスカイ政策を推進することを明示した(DNU70/2023号222条)。
- 航空関連業務を必要不可欠な業務と規定した(同182条)。
- 空港関連サービスに自由競争の原理を導入した。これにより、国営企業のインテルカルゴ社が独占的に行っているランプサービス業務の市場が開放された(同188条)。
- ドローンなど無人航空機も空域を飛行し、物や人を輸送できる航空機と見なした(同190条)。
- 国家航空機登録の手続きを電子化した(同192条)。
- 外国の航空会社による国内線の運航を認めた(同206条)。
- 国内航空運送事業を営む自然人はアルゼンチン国籍でなければならないとの規定を、アルゼンチンに住所を有していなければならないに変更した(同207条)。
- 航空運賃を自由化した(同215条)。
航空法の改正内容が有効になるには、関連する施行規則の公布を待たねばならなかったが、7月に入り、国内航空会社の航空市場への参入許可や、航空関連業務の許可、ランプサービス業務への参入許可、外国航空会社の航空市場への参入許可、コードシェアなどの手続きについて定めた政令599/2024号、国家航空機登録の手続きについて定めた政令639号/2024号、無人航空機の運用について定めた政令663/2024号、飛行場の使用を妨げる墜落、放棄された航空機の撤去について定めた政令664/2024号が相次いで公布された。
ミレイ政権はオープンスカイ協定の締結も進めており、これまでにブラジル、チリ、ウルグアイ、ペルー、エクアドル、カナダ、パナマ、パラグアイと締結した。6月25日付の現地紙「クラリン」(電子版)と運輸庁の発表によると、チリ、ウルグアイ、パラグアイと締結した協定は他国の航空会社による国内線運行を認めている。
(西澤裕介)
(アルゼンチン)
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