食肉加工大手JBS、自社工場で廃棄する牛脂と豚脂の持続可能航空燃料製造への活用を発表

(ブラジル)

サンパウロ発

2024年08月02日

ブラジルの食肉加工大手JBSは7月24日、自社工場で廃棄する牛脂や豚脂(過去2年間で120万トン相当)を持続可能な航空燃料(SAF)製造に活用したと発表した(注1)。これらの原料は米国、カナダ、オーストラリアにあるJBSの工場から供給されたものだ。ブラジル国内でも、JBSグループのフリボイ社が動物の廃脂肪を使用したSAFの研究を進めている。

JBSのジェイソン・ウェラー最高サステナビリティー責任者(CSO)は「航空業界は化石燃料への依存度が依然として高く(注2)、脱炭素化が困難な分野だ。動物の廃脂肪の活用は環境問題の解決に貢献でき、同時に航空業界の脱炭素化推進にも役立つ」と述べた。

また、JBSグループ傘下のバイオディーゼルメーカーのバイオパワー社は、牛脂を用いた船舶用再生可能燃料の研究開発を進めており、これは船舶用燃料として広く使用されているバンカー油に代替することが期待される。同社は現在、サンパウロ州リンス市、マットグロッソ州カンポベルデ市、サンタカタリーナ州マフラ市に拠点を置き、牛の加工過程で発生する有機廃棄物からトラック用バイオディーゼルを製造している。このバイオディーゼルは化石ディーゼルと比較して二酸化炭素(CO2)排出量を最大80%削減できる。

(注1)JBSの牛脂や豚脂を利用するSAF製造事業者の詳細は公表されていない。

(注2)国際航空運送協会(IATA)は、二酸化炭素(CO2)の排出量を2050年までに実質ゼロとする目標を持つものの、航空会社が従来どおりの事業活動を継続した場合、2050年には2020年時点の倍に当たる1.8ギガトンのCO2が排出されると予測している。2023年時点のSAF生産量は6億リットルで、全世界の航空燃料使用の0.2%でしかない。IATAは、CO2排出量を最大80%削減できるSAFの利用拡大を排出量削減手段の1つに挙げている。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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