第2四半期のGDP成長率は5.9%に加速、1年半ぶり高水準

(マレーシア)

クアラルンプール発

2024年08月27日

マレーシア中央銀行と統計局は8月16日、2024年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率が前年同期比5.9%だったと発表した。統計局が7月19日に発表した同期GDP推計(速報値)の5.8%を上回り、新型コロナ禍からの反動がみられた2022年第4四半期(7.4%)以来、6期ぶりの高水準だった。とりわけ堅調な個人消費、民間投資の活発化、輸出の回復継続が寄与し、2期連続で成長率が加速した。

需要項目別にみると、内需の成長率は6.9%となり、4期連続で加速した。特にGDPの6割を占める個人消費は6.0%増で、3期連続で加速した。労働市場の好調持続と政策支援の拡充が、家計支出を下支えした。継続的な事業の進展と企業の生産能力拡大により、民間投資も12.0%増と好調で、6期ぶりに10%を上回った。一方、政府消費と公共投資はともにやや鈍化した。外需増加とテック分野の景気回復を受け、輸出の伸びが前期を3ポイント超上回った結果、純輸出は5期ぶりにプラスに転じた(添付資料表1および図参照)。

産業別では、すべての主要産業がプラス成長を記録し、特にパーム油を中心とした農業、建設業、製造業が好調だった(添付資料表2参照)。GDPの4分の1を占める製造業は、好調な輸出を追い風に前期から加速し、4.7%の成長を記録した。中でもシェアが最大の電子部品、通信機器、家電は3.2%と、5期ぶりにプラスに転じた。これに次ぐ精製石油製品、化学・同製品および医薬品、自動車および輸送機器も、成長率が前期と比べて3ポイント以上拡大した。さらに、GDPの6割弱を占めるサービス業の成長率も5.9%と、2期連続で加速し、特に小売りや金融の好調が顕著だった。

2024年通年の見通しを据え置き、5%の上限近くになる可能性

2024年通年の成長率について、中銀のアブドゥル・ラシード・ガフォール総裁は、従来の予測値である4.0~5.0%の上限に近くなると見通した。年後半にかけて、引き続き力強い外需と、その後押しを受けた内需が成長を牽引すると見込まれるためだ。一方、外需の下振れ、地政学的緊張のさらなる激化、生産性の鈍化などがリスクとして存在すると指摘した。

また、総合インフレ率は、何事もなければ3%を超えないと予測した。政府は現在、2024年の総合インフレ率を2.0~3.5%としている(2024年3月25日記事参照)。政府は6月に、ディーゼル油(軽油)に対する補助金を廃止したものの、物価全体への影響は限定されていると、アブドゥル・ラシード総裁は分析した。ディーゼル油に加え、レギュラーガソリンへの補助金が廃止された場合の影響も、上記予想に織り込み済みだと説明した。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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