中国製自動車部品を規制、台湾域内の調達比率引き上げ義務化を発表
(台湾、中国)
調査部中国北アジア課
2024年08月05日
台湾経済部は7月30日、台湾域内で組み立て・生産する自動車について、台湾域内の部品調達率を定める新制度を発表し、8月1日から実施するとした。経済部は新制度を導入する背景として、中国から完成車とシャシーの輸入が禁止されている中(注)、一部の域内自動車メーカーが中国から多くの自動車部品を輸入し、規制を逃れているという報告があり、台湾の自動車部品企業のビジネスに重大な影響を及ぼしているためと説明した。自動車メーカーでは中国からの部品輸入比率は高い場合95%に達するという。
新制度の対象は、中国資本ブランド、もしくは中国資本と国際ブランドとの合弁によるブランド、中国企業が買収した国際ブランド、中国工場で生産する国際ブランド、中国ブランドを扱う台湾域内業者となる。域内での部品調達比率は新車販売1年目が25%、2年目は25%、3年目は35%とし、毎年引き上げる。新制度は8月1日以前から販売が開始されているブランドに対しても適用する。8月1日からは、対象となるブランドの部品で中国製、かつ乗用車および貨物・乗用兼用車に使用するモーター、パワーステアリング、シャフト、フレームを中国から輸入する場合、経済部に対して「域内サプライチェーン協力調達比率承諾書」を提出し、許可を得なくてはならない。
自動車市場関連の業界サイト「U-CAR」によると、既に台湾で販売されている新制度の対象ブランドは、中国企業が買収した国際ブランドではMGの「HS」「ZS」「MG4」、中国工場で生産する国際ブランドでは現代自動車の「Custin」がある。MGは英国発のスポーツカーブランドで、2007年以降は上海汽車集団グループ傘下となっている。台湾では中華汽車がCKD生産と販売を行っている。
(注)台湾の対中輸入は、1993年に制定した「台湾地区と大陸地区貿易許可弁法」によって管理されており、「国家安全と関連産業に重大な悪影響を及ぼさない品目」の場合に輸入を許可している。台湾の「大陸物品輸入不許可項目表」によると、7月時点で完成車を含む2,512項目が輸入禁止となっている。
(江田真由美)
(台湾、中国)
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