外国銀行の支店開設、9月から可能に

(ロシア)

調査部欧州課

2024年08月20日

ロシアでの外国銀行の支店開設が9月1日から可能となる。8月8日にウラジーミル・プーチン大統領が連邦法第275-FZ号「連邦法『銀行および銀行活動について』および一部の連邦法令の変更について」(8月8日付)に署名したことによるもの。ただし、9月1日以降に支店開設手続きができるため、実際に支店が営業を開始するのは早くても2024年末になるとみられる(実業ペテルブルク8月8日)。

ロシアではこれまで、外国銀行はロシア現地法人、または駐在員事務所しか開設できず、営業活動を行うには現地法人を設置することが必須となっていた。今回の改正で、対応業務に一部の制限はあるものの、現地法人の設立なしで営業活動を行うことが可能となる。

支店を開設できる外国銀行は、本店所在国での営業免許を取得して3年以上の活動期間を有し、ロシア中央銀行が定める銀行評価基準をクリアする必要がある。開設できる支店はロシア国内に1カ所のみとなる。開設には中銀に10億ルーブル(約16億円、1ルーブル=約1.6円)以上の保証金を供出する必要があり、支店の活動に関して中銀の監督を受ける。

支店が行うことができる業務は、a.法人の決済取引、b.通貨取引、c.送金、d.貸金庫業務などだが、個人事業主を含む個人の口座を開くことはできない。また、預金を集めることや貴金属・ダイヤモンドなどの取引を行うこと、信託業務に従事することなど一部の業務は許可されていない(ノーボスチ通信8月8日)。

外国銀行の支店開設が認められた背景には、西側諸国による金融制裁の影響を緩和し、ロシアと諸外国間の決済を容易にする、またロシアへの投資を促進する狙いがある(「ロシア新聞」8月8日)。ロシアの一部大手銀行が国外送金の国際銀行間通信協会(SWIFT)システムから排除されたり(2022年3月3日記事参照)、西側諸国の銀行子会社がロシアから撤退、あるいは活動を縮小したりする中、友好国を中心とした外国銀行の誘致を図る思惑とみられる(ノーボスチ通信8月8日)。

(欧州課)

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