米政府、IPEFクリーン経済協定や公正な経済協定の締結の国内手続きを完了
(米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、フィジー)
ニューヨーク発
2024年08月27日
米国国務省は8月21日、米国がインド太平洋経済枠組み(IPEF)のクリーン経済協定、公正な経済協定、運用体制に関するIPEF協定を8月19日付で寄託し、協定締結に向けた国内手続きを完了したと発表した。なお、いずれの協定も発効に必要な寄託国数には達しておらず、発効時期は現段階で未確定となっている。
IPEFは、2022年5月に発足したインド太平洋地域における経済協力関係の深化を図る枠組みで、米国や日本を含む14カ国(注1)が参加している。(1)貿易、(2)サプライチェーン、(3)クリーン経済、(4)公正な経済の4本柱に加えて、(5)協定全体の効果的な運用の5分野を対象に交渉が進められてきた。このうち、(1)貿易の柱は現在も交渉中だが、(2)サプライチェーン協定は2024年2月に発効し(注2)、(3)クリーン経済協定、(4)公正な経済協定、(5) IPEF協定の3協定は、2024年6月にシンガポールで開催された閣僚会合で署名されている(2024年6月7日記事参照、注3)。これらの署名済みの3協定は、少なくとも5カ国が国内手続きを完了し、批准書や受諾書などを寄託国の米国に寄託してから30日後に発効する。これまでに、フィジーとマレーシアがこれら3協定の、日本がクリーン経済協定およびIPEF協定の寄託を終えている。
なお、クリーン経済協定は、エネルギー安全保障強化やクリーン経済移行に向けた協力のほか、気候変動対策関連事業に対する投資拡大や、特定技術分野の協力作業プログラム(CWP)実施などが規定されている。公正な経済協定は、地域の貿易・投資環境の改善に向けた、贈収賄を含む腐敗行為の防止や税務行政の改善などにおける協力などが規定されている。またIPEF協定では、効果的な実施に向けた、各協定を横断する事項などを取り扱う閣僚級の協議体を設置することなどが規定されている(2024年3月15日記事参照)。
(注1)日本、米国、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、フィジーの14カ国。インドのみ貿易の柱に参加していない。ジェトロ特集「IPEFの動向」も参照。
(注2)ただし、国内手続きを終えたのは、米国、日本、フィジー、インド、韓国、マレーシア、シンガポール、タイの8カ国のみ。
(注3)ただし、3協定ともにインドとベトナムは未署名。
(葛西泰介)
(米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、フィジー)
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