米Z世代、半数以上が家族の経済的援助を受ける、物価高や生活費増大で経済的負担高まる
(米国)
ニューヨーク発
2024年07月17日
バンク・オブ・アメリカは7月10日、米国のZ世代(18~27歳)1,091人を対象に2024年4月17日~5月3日に実施した、Z世代の財政状況に関する調査結果を発表した。
調査結果によると、全体の半数以上(54%)が、両親や家族などからの経済的援助を受けながら、生活を送っていることがわかった。また、回答者の52%は、自分自身が望む生活を送るのに十分な収入を得ていないと答え、高い生活費を主要な経済的困難の1つとしている。特に、住居費・家賃が最大の障壁で、半数以上(54%)が自身で住居費を支払える状況にないと回答した。住居費を支払っている46%のうち、64%が月給の30%以上を住居費に充てており、物価高や生活費増大から経済的負担が高まっている。
生活費増大の厳しい状況が続く中、67%は出費を抑えるために生活スタイルを変えたと回答した。最も多かったのは、「外食を控える」との回答で43%だった。そのほか、「友人との外出の手控え」(27%)、「より手頃な食料品店で買い物をする」(24%)、「生活費の管理を始めた」(21%)などの回答が全体のそれぞれ2割以上となった。
また、貯蓄に関しては、回答者の30%は、貯蓄をするために十分な収入を得ていないと感じており、半数以上(57%)は、3カ月の期間に十分な緊急出費のための貯蓄ができていないと回答した。毎月の給料の一定割合を預金口座に回せているのはわずか15%で、給与の一部を企業年金制度(401k)に積み立てられている回答者は19%にとどまった。
多くはいろいろなゴールに向かって取り組んでいるが、人生の節目となる目標(マイルストーン)を先延ばしにしている。今後5年以内の目標について、50%は住宅の購入、46%は退職後の貯蓄、40%は投資の開始が軌道に乗っていないと述べた。
信用調査会社のトランスユニオンが実施した調査(注)によると、Z世代の消費者の75%が、新型コロナウイルスのパンデミックによる不況で経済的に悪影響を受けたと回答。同社のエグゼクティブバイスプレジデント兼金融サービス部門責任者、ジェイソン・レイキー氏は「この層は若く、社会人になって日が浅いため、キャリアの早い段階では低賃金である可能性が高い。インフレ率が上昇し、物価も高止まりしている限り、クレジットカード、個人ローン、自動車ローンなどの残高が伸び続ける可能性が高い」との懸念を示した。
(注)同社の信用調査機関のデータ分析とともに、2023年12月に22歳から24歳までだったZ世代の消費者を対象に、クレジットの利用状況についてインタビューを行ったもの。調査では、「Z世代」は1995年から2012年生まれ、「ミレニアル世代」は1980年から1994年の間に生まれた世代を指す。
(樫葉さくら)
(米国)
ビジネス短信 903341b852053001