中国EVメーカーのBYD、カンボジアで組立工場建設を計画
(カンボジア、中国)
プノンペン発
2024年07月19日
カンボジアのフン・マネット首相は6月27日、中国の電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)がカンボジアに自動車組立工場を建設する計画だと発表した。2023年10月には、スン・チャントール副首相兼カンボジア開発評議会第1副議長がBYDを訪問し、カンボジアでの充電ステーション設置拡大とEV組立工場建設の検討を進めるよう促していた。
BYDは既にカンボジアに5つの販売店を開設し、8車種のEVを輸入・販売している。EV輸入時にかかる特別税は、通常の四輪自動車の3分の1に当たる10%となっている。なお、カンボジアではBYDのほかに、中国、EU、米国などのブランド(注1)のEVも販売されている。
BYDはカンボジアに2つのサービスセンターと200カ所のEV充電ステーションも設置する計画だ。現在、4都市・州(注2)の18カ所に合計23の充電ステーションがあり、公共事業・運輸省(MPWT)、イオンモール、PTT(タイ)のガソリンスタンドなどにも設置されている。ただし、車種によって形状が異なる充電用ソケットへの対応が十分ではなく、まだ実用的とはいえない状況だ。充電にかかる電気代は、BYDの車種で400キロ走行ごとに約8ドル程度となる。
カンボジアは、2022年12月9日に発表した「自動車と電子産業の開発に向けたロードマップ」で、自動車と電子産業の継続的な成長を促進する計画を示した。投資法やその政令で、自動車組立工場への投資は9年間の法人税免除など、税制優遇の対象になる。また、生産に使う部品の輸入にかかる関税や特別税、付加価値税も減免対象となる。民間によるEV普及策としては、商業銀行がEV購入希望者に対し、最大5,000ドルの無担保・無保証人融資の提供を開始した。現在は二輪のEVに限定されているが、四輪のEVにもサービスの拡大が見込まれる。
現在、カンボジアには日本の自動車メーカーを含め、7つの四輪自動車の組立工場が稼働しているが、四輪のEV組立工場はBYDが初めてとなる(注3)。MPWTによると、2023年12月時点で国内のEV登録台数(二輪なども含む)は1,489台となっている。
(注1)雷丁汽車(LETIN)、赫迈弗(山东)汽車(HELMARV)、賽力斯汽車(SERES)、中国第一汽車〔紅旗(Hongqi)〕、五菱汽車〔五菱(Wuling)〕、南京汽車(MG)、広汽埃安(AION)、合衆汽車〔哪吒(Neta)〕、北京汽車(BAW)、トヨタ自動車、ジャガー、テスラなど(個人輸入業者による流通を含む)
(注2)プノンペン、シアヌークビル、バッタンバン、シェムリアップ
(注3)Daehan Auto(サンヨン)、RMA Automotive(フォード)、Camko Motor(ヒュンダイ)、HGB Motors Assembly(キア)、GTV Motor(GTV)、豊田通商マニュファクチャリングカンボジア(トヨタ)、Kカンボジア(いすゞ)
(トー・タイ)
(カンボジア、中国)
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