ボルアルテ大統領、所信表明演説で経済の回復を強調

(ペルー)

リマ発

2024年07月29日

ペルーのディナ・ボルアルテ大統領は、独立記念日にあたる7月28日、所信表明演説を行った(官報ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。演説の中でボルアルテ大統領は、ペルー経済は回復しており、2024年(1~12月)の実質GDP成長率は、3.1%を超えるとの見通しを示した。

他にも演説の中では、新型コロナウイルスやエルニーニョ現象の影響などで国内が分断され、深刻な危機に直面している際に自身が大統領に就任し政治的な困難も伴ったが、政府と国民の努力により、経済が回復に向かっていると強調した。その裏付けとして、2024年4月の実質GDP成長率は前年同月比5.3%で、5月のインフォーマルセクター(非公式部門)を除く公式部門雇用者数は同2.1%増となり、約12万人の雇用増であることを示した。

今後の政策方針として、鉱業がペルー経済を動かす「モーター」であり、鉱業部門の競争力向上、違法鉱業のフォーマル化、サステナブルで環境にやさしい鉱業への進化を進めると表明した。また、中小企業の活性化策として、引き続き自由貿易協定(FTA)の活用を促進すると明言した。具体的には、すでに締結している中国とのFTAについて、その内容を見直し、新たな章を設けることで、中国からペルーへの投資とペルーの中小企業の対中輸出の促進を図る、としたが、見直しの内容については言及されなかった。また、実質合意している香港とのFTAについて最終的な協議を進めるとともに、インド、インドネシアとのFTA交渉を継続する、とした。さらに、新たなFTA交渉の相手国候補として、モロッコとアラブ首長国連邦(UAE)を挙げた。

環境政策では、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた国家気候変動戦略を2024年第3四半期(7~9月)に承認する方向であることを明らかにした。

(石田達也)

(ペルー)

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