大阪・関西万博で130億リンギの輸出・投資確保へ、調和ある未来を紡ぐマレーシア館

(マレーシア、日本)

クアラルンプール発

2024年06月28日

マレーシア政府は6月20日、2025年の大阪・関西万博への参加表明式典を投資貿易産業省(MITI)で行った(同省プレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。ファディラ・ユソフ副首相が、関係閣僚やの髙橋克彦在マレーシア日本大使も同席の中、正式にマレーシアの万博参加を発表した。

写真 式典の様子。左から一人目が髙橋大使、同三人目がザフルル投資貿易産業相、四人目がファディラ副首相(ジェトロ撮影)

式典の様子。左から一人目が髙橋大使、同三人目がザフルル投資貿易産業相、四人目がファディラ副首相(ジェトロ撮影)

パビリオン(以下、マレーシア館)を主導するMITIのテンク・ザフルル・アジズ投資貿易産業相は、大阪・関西万博への参加により総額130億リンギ(約4,420億円、1リンギ=約34円)相当の潜在投資と輸出の機会を確保できると見込んだ(同相スピーチPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。マレーシアは1970年に大阪で開催された日本万国博覧会で初めて万博に参加。前回2021年のドバイ万博には、マレーシアから400社超の企業が参加し、83億リンギの貿易と投資の機会を確保した。MITIは、大阪・関西万博ではこれを上回る成果を目指したいとしている。ザフルル投資貿易産業相は、大阪・関西万博への参加が「持続可能な開発や産業改革、包摂的な経済成長、全ての人のための繁栄した社会の形成に向けたマレーシアの取り組みを披露する機会となる」と説明した。マレーシア館では、持続可能な農業、エネルギー移行、スマートリビング、高度製造業、環境管理、エコツーリズムなどへの試みを紹介する予定だ。

多様性の中に強さを見いだすマレーシアの実像を表現

マレーシア館のテーマは「調和ある未来を紡ぐ」(Weaving a Future in Harmony)。大阪・関西万博全体のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」も補完しつつ、異なる民族、宗教、背景を持つ人々が共存し、独自の視点と才能を持ち寄って繁栄してきたマレーシアの生きた姿を紹介する。ファディラ副首相は、ソンケット(色や質感の異なる金糸や銀糸を折り合わせたマレーシアの伝統的織物)の工程から、マレーシア館の着想を得たと説明。「複雑な糸が布地全体の美しさと優雅さを作り上げるように、多様なコミュニティーが絡み合うマレーシアでは活気に満ち調和ある社会が共創されている」と、多様性による相乗効果を強調した。なおマレーシアは、前回ドバイ万博で、テーマ解釈・表現部門において同国として初めて金賞を受賞した(2022年4月1日付科学技術イノベーション省プレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。

ファディラ副首相はまた、2025年にマレーシアがASEAN議長国を担う点でも、重要で記念すべき年となると付言した。万博とASEANには、協力、革新、よりよい未来に向けた共通ビジョン追求といった核となる共通点があるとし、万博への参加を通じ、ASEANの一員としての団結と繁栄というメッセージをさらに強く発信できるものと述べた。

写真 ソンケットをイメージしたマレーシア館の完成モデル(ジェトロ撮影)

ソンケットをイメージしたマレーシア館の完成モデル(ジェトロ撮影)

(ニサ・モハマド、吾郷伊都子)

(マレーシア、日本)

ビジネス短信 e7c8159afbf6387c