2024年第1四半期の米貿易、輸出入ともに3期連続の増加

(米国)

ニューヨーク発

2024年06月28日

米国商務省が6月20日に発表した、2024年第1四半期(1~3月)の貿易統計(国際収支ベース、季節調整済み)によると、輸出(財・サービス)は前期比1.3%増の7,872億ドル、輸入は2.1%増の9,917億ドルとなった(添付資料表1、図参照)。輸入の増加が輸出の増加を上回ったことから赤字額は105億ドル増加し2,045億ドルとなった。輸出入ともに3期連続の増加となった。財、サービスの内訳では、財が2,777億ドルの赤字、サービスが732億ドルの黒字だった。

財貿易をみると、輸出が前期比0.4%増の5,161億ドル、輸入が2.0%増の7,939億ドルとなった(添付資料表2参照)。輸出では、航空機用エンジンおよび部品やコンピュータ周辺機器などの資本財、大豆などの食料品・飲料、医薬品などの消費財が押し上げに寄与する一方、自動車は2期連続でマイナス寄与となった。輸入では、コンピュータなどの資本財、衣料品などの消費財、野菜・果物などの食料品・飲料が押し上げに寄与した。工業用原材料は、金属・非金属製品がプラスとなる一方で価格低下の影響もあり原油がマイナスとなった結果、ほぼ横ばいだった。

財貿易を主要国・地域別にみると、輸出では、中国が前期比7.3%増388億ドルとなり、最大の押し上げ要因になった(添付資料表3参照)。域内の財・サービス別では民間航空機(HSコード8800)、コットン(5201)、血液・ワクチン(3002)が増加した。次いで、アジアNIES(注1)が2.5%増の470億ドルとなった。金(7108)、絵画(9701)、宝石部品(7113)が増加した。輸入では、アジアNIESが前期比9.6%増の696億ドルとなり、最大の押し上げ要因になった。 血液・ワクチン(3002)、乗用自動車(8703)、コンピュータ(8471)などが増加した。次いで、中国が3.4%増の1,082億ドルと押し上げた。履物類(6402)、空気・真空ポンプ(8414)、エアコン(8415)などが増加した。

対中貿易は、輸入の増加額が輸出の増加額を上回り、赤字額は695億ドルに増加した。中国からの財輸入は、直近で増加したものの年々減少傾向にあり、国別で比較すると2022年第4四半期からメキシコの首位が続いている。対日貿易は、輸入が増加し輸出が減少したことで、赤字額は増加し185億ドルとなった。輸入では、血液・ワクチンなど医薬品(3004)、石油および歴青油(原油を除く、2710)(注2)などが伸びた。

なお、6月6日の商務省の発表によると、4月の輸出(財・サービス)は3月から21億ドル増加し2,637億ドル、輸入は80億ドル増加し3,382億ドルとなった。オックスフォード・エコノミクスの米国担当エコノミストであるマシュー・マーティン氏は「輸入は堅調な国内需要と在庫の少なさによって支えられている。輸出に関しては、世界経済の弱体化とドル高の影響で、米国製品が海外で相対的に高価になっている」と説明した(インダストリーウィーク電子版6月6日)。

(注1)新興工業経済地域、アジアでは韓国、台湾、香港、シンガポール。

(注2)関税定率法に定められた用語。石油とは区別される油で、オイル・シェール(油母頁岩)、タ-ル・サンドその他に含まれる瀝青質(狭義ではアスファルトと同義語)から得られる油も含まれる。

(大原典子)

(米国)

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