深セン市、水素産業発展に向けた行動プランを発表

(中国)

広州発

2024年05月27日

中国の深セン市発展改革委員会は5月6日、「水素エネルギー産業のイノベーション発展に向けた行動プラン(2024-2025年)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(以下、行動プラン)を発表した。同行動プランは、水素エネルギーの中核技術の研究開発、関連産業園区の構築、応用機会の増加、関連サービスの完備を中心に、同市の水素エネルギー産業の発展を促進する。

行動プランでは、2025年までの目標として、カーボンペーパー、膜電極、水素製造設備、水素貯蔵装置などの重要部品と装置の技術を国内最先端の水準に到達させ、強い国際競争力を備えた企業を育成する。また、水素の製造・貯蔵・運輸・供給・応用のメカニズム、標準体系と管理メカニズムを完備する。具体的には、一般販売用の燃料電池車の普及、最大5基の水素ステーション建設、15以上の重点実験室、技術センターなどのイノベーションプラットフォームの建設、20以上の国内外の水素エネルギー分野の標準策定および改定に、深セン市が関与する、全産業チェーンの中核的競争力を向上させるなどの目標が挙げられた。

行動プランの実施プロセスは次のとおり。

(1)固体高分子形燃料電池に使用される材料の技術革新を加速させる(耐食性が高いカーボンペーパー、高導電性、長寿命の膜電極材料、高効率の低白金電極用触媒、高導電性、高熱伝導性のガス拡散層など)。長寿命、低コスト、高出力で信頼性の高い燃料電池スタックおよびシステムなど中核技術の研究開発を進める。水素エネルギーの製造・貯蔵・運輸・応用の各分野において、重点実験室、技術センターなどのイノベーションプラットフォームを建設する。企業、大学、科学研究院などが、水素エネルギーの品質、安全基準、製造と精製、貯蔵・輸送と補給、燃料電池の重要な材料、設置や検査などの分野の標準策定に関与することを支援する。

(2)研究に必要な施設を完備した水素工業園区を構築し、企業による先進的な水素貯蔵、燃料電池のコア材料・部品など水素エネルギー応用重点分野の産業化を支援する。パイロット基地または生産ラインの建設には1プロジェクト当たり最大1,000万元(約2億2,000万円、1元=約22円)の補助金を支給する。産業化実施にあたっては最大1プロジェクト当たり最大1,500万元の補助金を支給する。水素産業の川上から川下までの企業間の協力を促進し、質が高い水素企業を誘致・育成する。

(3)水素の応用に関しては、水素燃料を使った広東省内の都市間を結ぶ高速バス、ダンプカー、その他の交通の実証ラインの開設を支援する。深セン港や市内の産業園区、観光地、物流園区においても、水素燃料を使った通勤・観光バス、物流車両、トラクター、コールドチェーン流通物流など重量物積載用車・長距離運輸分野での応用を推進する。このほか、学校、病院、産業園区などでの燃料電池の応用を模索し、観光、運輸、消防などの分野で水素船舶、ドローン、水素電池ハイブリッド型電動垂直離着陸機(HVTOL)の技術開発と応用を支援する。

(4)水素ステーションの建設と運営システムを完備する。国の燃料電池自動車モデル都市建設の補助金を活用するなどによって、水素のコストを削減する。水素輸送ルートを科学的に計画し、高密度、軽量、低コスト、多様な水素エネルギー貯蔵輸送システムを構築する。

(梁梓園)

(中国)

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