広東省の2023年の知財関連訴訟、損害賠償請求全額支払い判決が44.3%超

(中国)

広州発

2024年05月08日

中国の広東省高等人民法院は4月23日、「世界知的財産の日(4月26日)」に合わせ、「広東省内の人民法院における知的財産権の司法保護の状況に関する白書(2023年度)」(以下、白書)を発表した。

白書によると、2023年に、広東省内の人民法院が結審した知的財産権に関連する案件における損害賠償額の平均認定率(注1)は65%に達した。また、損害賠償請求額の全額が認められた案件の比率は44.3%を超えた。発明専利権(注2)侵害案件の平均損害賠償額は98万8,000元(約2,074万8,000円、1元=約21円)となり、損害賠償額が1,000万元を超える案件は24件、最高損害賠償額は3億1,700万元に達した。法に基づいて侵害者を厳しく処罰する懲罰的損害賠償が適用された案件は62件あった。

2023年に同省内の人民法院が新規で受理した知的財産権に関する訴訟件数(一審、二審、再審を含む)は、前年比で22.2%減の9万1,089件となった。また、同省内の人民法院が結審した知的財産権に関する案件数は9万4,574件だった。

そのうち、発明専利権などの技術関連の知的財産権について結審した案件数は、前年比55.8%増の1万6,450件だった。次世代情報技術、ハイエンドIC(集積回路)チップ、バイオ医薬、新エネルギー、新素材、新品種など「コア技術」や「グリーン技術」を含むハイテク、高効率、高品質な技術に関する知的財産権に関する案件数が増加した。

なお、2023年に広東省内の人民法院が結審した外国企業または個人が関与する知的財産権に関する案件数は2,325件、香港およびマカオの企業または個人が関与する案件数は475件あった。

(注1)(判決で認められた損害賠償額の平均値)÷(平均損害賠償請求額)×100の式で求められる。

(注2)中国では特許権、実用新案権、意匠権を含む。

(黎偉君)

(中国)

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