ウクライナ中銀、政策金利を13.5%に引き下げ、2024年2回目の利下げ
(ウクライナ)
ワルシャワ発
2024年05月02日
ウクライナ国立銀行(NBU、中銀)は4月25日、主要政策金利を14.5%から13.5%に引き下げると発表し、翌日26日から適用した。インフレ圧力の低下と、国際金融支援継続の見通しが立ったことが主な要因。3月15日にも金利を15%から14.5%に引き下げており、利下げの継続により景気回復を下支えすることが狙い(4月25日付プレスリリース)。
NBUは、2024年はインフレ圧力が緩やかに上昇すると予想しており、その要因として前年の農作物豊作の影響の低下、消費のさらなる回復、戦時下でのビジネスコストの上昇を挙げた。しかし、実際のインフレおよびインフレ期待が改善されていることを考慮し、NBUは2024年のインフレ率見通しを従来の8.6%から8.2%に下方修正した。インフレ率は2025年に6%、2026年には5%に鈍化すると予測した。
2024年通年のGDP成長率予測について、NBUは3%とし、2月1日に発表した3.6%から下方修正した。国際支援継続の問題に進展があったこと、内需および外需が改善したことで経済活動のさらなる回復を予測する一方、エネルギーインフラに対するロシアの攻撃の影響を指摘した。2025年および2026年におけるGDPの伸びは4.5~5%と予測した。なお、IMFが2024年4月16日に発表した最新の「世界経済見通し」によると、ウクライナの2024年のGDP成長率が3.2%、2025年は6.5%になると予測されている。
NBUは4月5日、ウクライナの外貨準備高が2024年4月1日時点で437億6,270万ドルに達したことを明らかにした。前月比では18%の増加で、2023年8月1日に記録した417億3,800万ドルを超え、同国の史上最高値を記録した。この要因としてNBUは、2024年3月に政府の口座に国際パートナーから合計で93億1,610万ドルの入金があったことを挙げた。内訳は、ウクライナ・ファシリティ・プログラムを通じたEUからの49億100万ドルの支援のほか、日本および英国の保証による世界銀行からの16億2,610万ドルの支援などだった。
(柴田哲男、坂口良平、柴田紗英)
(ウクライナ)
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