ドイツ自動車大手、中国市場での競争力強化に向けた取り組み発表

(中国、ドイツ)

上海発

2024年05月09日

第18回北京国際汽車展覧会(北京モーターショー、2024年5月1日記事参照)の開催に合わせ、ドイツ自動車メーカー大手は中国市場での戦略を発表した。各社は中国市場を重視し、スマート化や自動運転化に向けた取り組みを加速する方針だ。

メルセデス・ベンツは4月25日、新製品と現地開発により「Inspired by China, Innovating in China」の戦略を強化すると発表した。コネクティビティー、デジタル化、自動運転の開発を加速すべく、北京市にある既存の2つの研究開発拠点に加え、上海市にデジタルイノベーションに特化した拠点を新たに建設する。また、車載ゲームによる車内エンターテインメントの充実を図るため、中国IT大手のテンセントと米国ゲームソフト大手のエレクトロニック・アーツと提携すると発表した。この提携により、2024年末までにメルセデス・ベンツ車にレースゲームを搭載する予定。北京モーターショーでは、スポーツレース系ブランドのメルセデスAMG「GT 63 S Eパフォーマンス」と、電気SUV(スポーツ用多目的車)の新型「Gクラス」の2車種を世界初公開した。

フォルクスワーゲン(VW)は4月24日開催の投資家向けイベントで「In China, for China」戦略を強調。中国の顧客ニーズへのさらなる対応や、モデル開発と市場投入までの時間短縮、コスト削減に向けた対策を提示した。小型車のセグメントでは、中国の新興NEV(新エネルギー車)メーカーの小鵬汽車(XPENG)との共同開発などにより、2026年までに製造コスト40%削減を目指す。また、安徽省合肥市の研究開発拠点の活用により、現地で新製品の市場投入までの時間を30%短縮するなどの目標を説明した。競争力強化に向けては、現地開発能力の向上と、北京地平線機器人技術研発(Horizon Robotics、地平線)、中科創達(サンダーソフト)、XPENGなどの中国企業とのパートナーシップに重点を置く。VWは今後10年間で中国国内販売台数に占めるNEVの割合が約75%に達すると予測し、2030年までに30モデル超のEVを投入する計画だ。また、同社は中国市場で2030年までにガソリン車も含めて約400万台を販売し、市場シェア約15%を目指すとの目標を掲げた。北京モーターショーでは、4車種を世界初公開、2車種を中国初公開した。

BMWは4月26日、遼寧省瀋陽市の生産拠点に200億元(約4,200億円、1元=約21円)の追加投資を行うと発表した。オリバー・ジプセBMW AG取締役会長は「この投資計画は、中国の長期経済見通しに対するわれわれの信頼だけでなく、中国パートナーのイノベーション能力に対する信頼を示している」と述べた。また、2026年に同拠点の生産ラインから、北京モーターショーで中国初公開された次世代モデルのビジョン・ノイエ・クラッセ(Vision NEUE KLASSE)の最初のモデルが生産される予定とした。

(神野可奈子)

(中国、ドイツ)

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