半導体後工程大手の京元電子、中国工場の株式売却を発表
(台湾、中国)
調査部中国北アジア課
2024年05月02日
半導体後工程(OSAT)大手の京元電子(注1)は4月26日、中国子会社の京隆科技(蘇州)の全株式(持ち株約92%)を売却すると発表した。京隆科技は2002年9月に設立された。主に5G(第5世代移動通信システム)、EV(電気自動車)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー関連の製品のパッケージングとテストを行っており、売り上げの90%は中国大陸の顧客との取引だ。
京元電子は売却の理由について、近年の半導体に関する米国の対中規制の強化により中国における半導体のエコシステムに変化が起こり、市場競争は一層厳しくなっており、将来の成長と資源の有効活用を考慮した結果、中国における半導体製造業務から撤退するとの判断に至った、としている。京元電子の業績は好調に推移しており、2022年、2023年の営業利益率はいずれも20%を超えた。京元電子と京隆科技の顧客は重複しておらず、売却による業績への影響は軽微としている。
今後は、速いスピードで品質の改善が求められるAI(人工知能)やハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)などの台湾での半導体製造に集中投入し、先端品を製造するファブレスやIDM(注2)からの受託を強化することで一層成長していく予定としている。具体的には、売却後の資金約166億元(約797億円、1台湾元=約4.8円)は台湾に還流し、工場の増設や一層高度なOSAT技術の研究開発や設備導入にあてる。
(注1)台湾のOSAT企業としては、日月光(ASE)、力成科技(PTI)に次ぐ3番手。生産拠点は台湾および蘇州。
(注2)自社で設計から製造、組み立てまで行う企業。
(江田真由美)
(台湾、中国)
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