2023年度の世界iPhone生産、14%はインド組み立て

(インド)

ベンガルール発

2024年04月16日

米国アップルの携帯電話端末「iPhone」の世界生産量のうち、2023年度(2023年4月~2024年3月)にインドで組み立てられた割合が14%、金額ベースで140億ドルに達する、とブルームバーグが報じ、現地メディアが盛んにこの話題を取り上げている。

報道は関係者の話として伝えたもので、世界で生産されるiPhoneの7台に1台がインドで組み立てられた、と指摘している。インド国内でiPhoneの組み立てを行う企業の割合は、台湾の鴻海精密工業傘下フォックスコンが67%、台湾の和碩聯合科技(ペガトロン)が17%、財閥大手タタ・グループが緯創資通(ウィストロン)から買収した工場が16%とみられる(「インディア・トゥデー」4月10日、「インディアン・エクスプレス」4月10日など)。

フォックスコンは、南部タミル・ナドゥ(TN)州の工場で最新機種のiPhone 15など、ペガトロンは同州で上位機種、タタ・グループは南部カルナータカ州でiPhone SEなど低位機種を製造しているとみられる。特にタタ・グループは、アップルのサプライチェーンへの参画拡大に高い関心を持ち、ペガトロンが運営するTN州のiPhone工場への出資に向けて協議中、と一部で報じられている(「ビジネス・トゥデー」4月9日、「タイムズ・オフ・インディア」4月10日)。

また、組み立てのみならず、iPhone部品のインドでの製造の流れも見られる。フォックスコンが60億ドルを投資しカルナータカ州に新設する工場ではiPhoneの筐体(きょうたい)やチップ製造装置を生産することや、55億ドルを投じ南部テランガナ州に新設される工場では、アップル製品で使用されるコネクターやアダプター、ワイヤレスイヤホン「AirPods(エアポッズ)」などの製造が計画されているという。

アップルは地政学的リスクへの対応として、iPhone生産地の多角化を推し進めているとされる。インド政府は2024年1月に、バッテリーカバー、カメラレンズ、バックカバーなどのスマートフォンで使用される部品の関税率を15%から10%に引き下げており、スマートフォンの製造ハブとしてインドの存在感は今後も増していくと推測される。

(大野真奈)

(インド)

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