10都県の一部区域の4つ星以上のホテル、日額最低賃金を400バーツに引き上げ
(タイ)
バンコク発
2024年04月12日
タイの4月2日の閣議で、国家賃金委員会の最低賃金の引き上げ案を承認した。全ての都県内で一律の幅で引き上げられた従来と異なり、今回の最低賃金引き上げは、一定の分野と職種に対してのみ適用される。具体的には、10都県の特定区域で、50人以上の従業員を雇用する4つ星以上のホテルで、最低賃金が日額400バーツ(約1,680円、1バーツ=約4.2円)へ引き上げられることになった。4月13日から施行される。観光業が主要産業の1つのタイで、これらの区域には国内外から多くの観光客が訪れている。
具体的な適用区域については次のとおり。
- バンコク都:パトゥムワン区、ワッタナー区
- クラビー県:アオナン行政機構区域(注1)
- チョンブリー県:パッタヤー市
- チェンマイ県:チェンマイ市(注2)
- プラチュワップキーリーカン県:ホアヒン市(注3)
- パンガー県:クックカック地区(注4)
- プーケット県:全域
- ラヨーン県:バンペー地区(注5)
- ソンクラー県:ハートヤイ市(注6)
- スラートターニー県:サムイ島
しかし、現地報道によると、ホテル業以外の観光産業からは「他の産業も(新型コロナウイルスの)パンデミックが終わり、着実に回復しているにもかかわらず、ホテル業に対してのみ最低賃金引き上げが適用されるのは公平ではない」と反対の声もある。一方、元タイホテル協会会長のマリサ・スコソン・ヌンバクデイ氏も「観光産業は労働集約的で、経営者が賃金コストの上昇に適応するには、時間が必要だ」と述べ、引き上げに懸念を示した(3月29日付「バンコク・ポスト」紙)。
他方、セター・タビシン首相は、他の産業についても引き続き最低賃金引き上げの検討を続けるとしている。政府は2024年1月に全国の最低賃金を平均2.7%引き上げたが、4月までにさらに引き上げる意向を示していた(2024年1月9日記事参照)。
(注1)タイ語ではオーボートー・アオナン
(注2)タイ語ではテーサバーンナコーン・チエンマイ
(注3)タイ語ではテーサバーン・ホアヒン
(注4)タイ語ではテーサバーンタンボン・クックカック
(注5)タイ語ではタンボン・バンペー
(注6)タイ語ではテーサバーンナコーン・ハートヤイ
(ピンラウィー・シリサップ、藤田豊)
(タイ)
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