中銀、政策金利を6回連続引き下げ10.75%に

(ブラジル)

サンパウロ発

2024年04月05日

ブラジル中央銀行の金融政策委員会(Copom)が3月20日に開催され、政策金利(Selic)を11.25%から0.50ポイント引き下げ、10.75%にすることを全会一致で決定した。2022年2月以来の低水準で、金利を下げ始めた2023年8月の会合から6回連続の0.5ポイント利下げとなる(2023年8月8日記事参照)。

Copomは前回会合と同様、国際情勢が不確実で、新興国には慎重さが求められると評価した一方、国内については、インフレの鈍化傾向が継続していると説明している。3月22日付の中銀週次レポート「フォーカス」(注)によると、代表的な物価指数の拡大消費者物価指数(IPCA)の見通しは、2024年が3.75%、2025年が3.51%となっており、いずれも国家金融評議会(CMN)が設定する2024年および2025年のインフレ目標値3.00%(上限許容幅1.5%)以内だ。次回の会合でも同規模の金利引き下げが予想されている。

ブラジル全国工業連盟(CNI)はCopomの決定を批判している。リカルド・アルバン会長は「0.5ポイントの引き下げは不十分だ。ブラジルのインフレ状況をみると、以前から実質金利のさらなる引き下げは可能だ。(中央銀行の)方針が変わらない限り、(国内産業の活性化に向けた)新工業化の実現は難しい」と述べた(3月20日付CNI公式サイト)。

(注)フォーカスは、中銀がブラジル国内100機関以上の金融機関を対象に行った予測をアンケートでまとめたもの。毎週金曜日の集計を基に平均値を算出し、翌週の月曜日に公表される。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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