国会議員選挙は野党が勝利、尹政権は苦しい政権運営続く

(韓国)

ソウル発

2024年04月11日

韓国で4月10日に投開票が行われた第22代国会議員選挙(定数300)で、革新系野党「共に民主党・民主連合」が大勝した。各党の獲得議席数は次のとおり。

  • 共に民主党・共に民主連合:175議席(小選挙区161、比例代表14)
  • 国民の力・国民の未来:108議席(小選挙区90、比例代表18)
  • 祖国革新党:12議席(小選挙区0、比例代表12)
  • 改革新党:3議席(小選挙区1、比例代表2)
  • 新しい未来:1議席(小選挙区1、比例代表0)
  • 進歩党:1議席(小選挙区1、比例代表0)

定数300のうち「共に民主党・民主連合」が6割近くを獲得した半面、保守系与党「国民の力・国民の未来」は108議席にとどまったことから、国会で野党が過半数を占める「ねじれ」現象が続くこととなった。

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領政権の「中間評価」(注1)と位置付けられていた今回の総選挙の結果は、苦しい政権運営が続くことを想定させるものとなった(注2)。一方、国会議員の3分の2以上の賛成により、大統領が拒否権を行使した法案などへの再可決や大統領への弾劾が可能となるが、与党が100議席超を獲得したことから、その状況は回避できた。

なお、今回の総選挙では投票率が67.0%と、4年前の前回の66.2%を超え、国民の高い関心がうかがえた。

今回の選挙結果を受けて、保守系の「朝鮮日報」が社説(4月11日)で「今回の総選挙で尹大統領は国民から審判を受けた」「各種改革を推進しなければならないが、野党の協力なしには国会で何もできず、国民を直接説得することも容易ではない」と述べるなど、報道各社は今後の政権運営の難しさについて言及している。

(注1)尹政権は2022年5月に発足し、任期は5年。今回の総選挙は2年経過時点の尹政権を評価する意味合いが強かった。次回の大統領選挙は2027年3月ごろに実施予定。

(注2)411日現在、国会議員数は297人、野党「共に民主党」(「共に民主連合」を含む)が156議席、与党「国民の力」(「国民の未来」を含む)が114議席、その他政党および無所属が27議席で、政権が掲げる法案や政策について国会の賛同を得られにくい状況が続いてきた。

(橋爪直輝)

(韓国)

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