NTTイーアジア、デジタルマーケティングのベトナム地場スタートアップの筆頭株主に

(ベトナム、日本)

ハノイ発

2024年04月08日

NTT東日本の100%子会社のNTTイーアジア(東京都新宿区)は3月15日、デジタルマーケティングのスタートアップのベトナム・アウィング・テクノロジーズ・アンド・メディア(Vietnam Awing Technologies and Media JSC:アウィング)に対する出資を発表した。株式取得完了後の出資比率は32.5%で、NTTイーアジアはアウィングの筆頭株主となる。

アウィングは2017年創業のスタートアップで、フリーWi-Fi接続サービスを提供する施設や飲食店などと広告主をつなぐBtoB型のオンライン広告プラットフォームを運営している。広告主に対しては、Wi-Fiの接続認証システムを活用して収集したWi-Fi利用者の年齢、性別、位置情報や使用言語などの属性情報に応じた広告配信サービスを提供している。一般的なターゲット広告がサイト検索や閲覧履歴から推測した情報を利用していることに比べ、ユーザー自身が入力した情報やリアルタイムかつ詳細な位置情報を利用できるため、より高い広告効果を狙う広告主のニーズを集めてきた。広告主の業種は自動車メーカーや飲食店、金融機関、デベロッパーなど多岐にわたり、日本企業の利用実績もあるという。

フリーWi-Fiの管理者にとっては、事務コストをかけずに広告収益の分配を得られるメリットがある。これまでベトナム国内の国際空港や大型商業施設、大手映画館、カフェチェーンなど、多数の来訪客が一定時間滞在する施設へのプラットフォーム導入の実績を重ねてきた。一方、同社は日本企業との協業も模索しており、ジェトロが日本企業とベトナムスタートアップとの協業促進のため開催したピッチイベントにも登壇した(2022年12月8日記事参照)。

アウィングのグエン・ティエン・ズン最高経営責任者(CEO)は出資受け入れの理由について、NTT東日本グループがASEAN各国現地に持つ通信事業者や日系企業とのつながりを挙げている。アウィングはASEANでの事業拡大に当たり、各国での事業パートナーや顧客基盤の開拓が課題となっていた。

NTTイーアジアは、今回の出資を通じてアウィングの事業に参画し、ASEAN諸国への事業拡大を目指す予定だ。通信インフラ分野にとどまらず、デジタルなどの分野でも、スタートアップを含むさまざまなASEAN諸国現地企業との協業などを推進する方針を掲げる(同社プレスリリース)。ベトナムでは1990年代からVNPT(通信)やベカメックス(都市開発)といった公営企業と通信インフラ分野での実績を積んできたが、2023年10月には地場のソフトウエア開発分野の関連会社OCG Technology JSC(2024年4月1日にNTT e-MOI JSCに社名変更)を連結子会社化するなど、IT関連サービス分野での事業展開も推進している。

写真 ハノイ市内で開催された文書調印式(ジェトロ撮影)

ハノイ市内で開催された文書調印式(ジェトロ撮影)

(橋本弘毅)

(ベトナム、日本)

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