国家安全教育日に、中央政府による香港経済活性化への支持を表明

(香港、中国)

香港発

2024年04月23日

香港特別行政区(以下、香港)政府は15日、湾仔の香港会議展覧センターで、国家安全教育日(注1)の活動を行い、中国共産党直轄組織である中国共産党委員会の香港マカオ工作弁公室の夏宝竜主任がオンラインで開幕式に出席した。

夏主任は、香港基本法第23条に基づく国家安全維持条例(以下、条例)が3月23日に施行された(2024年3月21日記事参照)ことについて、「一国二制度の実施における重要な試金石であり、香港が国家安全における法的防御をさらに強化したことを意味する」との見解を示した。また、香港の「安定から繁栄」への実現に向け、次の5つの「するべきこと」を示した。

  1. 国家安全保障の順守
  2. 「一国二制度」を堅持し、香港の繁栄と安定維持の役割を果たすこと
  3. 香港の独自の地位と優位性を強化・発揮すること
  4. ビジネスチャンスの提供
  5. 新たな課題への適応、新たな責務の受諾など、革新と創造による飛躍

「安定から繁栄」への実現に向け、中国本土が強力な後ろ盾になること、また香港全体の努力が香港の未来に有望性と前進をもたらすことを強調した。

李家超(ジョン・リー)行政長官は、条例を「ワクチン」、国家安全維持に対する脅威を「ウイルス」に例え、「ウイルスは依然として、われわれを襲ってくる」と指摘した。そのため、香港政府は、条例の解釈、内部体制の見直し・強化、処罰など執行力の強化、国家安全教育の実施など4つの観点から条例の施行に取り組むと意欲を示した。

なお、香港政府は、2024年の国家安全教育日のテーマを「総体国家安全観(注2)10周年」とし、政府と民間財団の共催により10万人以上の小中学生が参加した「香港学校国家安全知識チャレンジ」の実施、香港内の17の中学校から75人の教師と生徒で構成された視察団による北京、上海、杭州への訪問や、国家安全教育のために制作されたアニメーションの放映などを実施し、香港の小中学生を対象に国家安全保障への理解を深める機会を設けた。

(注1)2015年7月1日に施行された中華人民共和国国家安全法では、国民に対し、国家安全を守るという意識を高め、責務を認識させる目的で、4月15日を「国家安全教育の日」と定めている。

(注2)2014年に習近平総書記(国家主席)が提唱。政治、国土、軍事、経済、文化、社会、科学技術、情報、生態系、資源、核、海外での権益、宇宙、深海、極地、バイオ、人工知能、データなど幅広い分野の安全を包括する。2015年施行の「国家安全法」でも、同概念を堅持することが明記されている。

(松浦広子)

(香港、中国)

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