バイデン米政権、ロシア原産のアルミ・銅・ニッケルの輸入などを禁止
(米国、ロシア、英国)
調査部米州課
2024年04月15日
米国財務省は4月12日、ロシア原産のアルミニウム、銅、ニッケルの輸入および一定の取引を禁止する行政決定を発表した。英国政府と協調した制裁措置だとしている。
財務省は2022年3月に発令された大統領令14068号に基づいて、(1)2024年4月13日以降にロシアで生産されたアルミニウム、銅、ニッケルの米国への輸入を禁止する行政決定と、(2)国際金属取引市場でそれら金属資源に関するワラント・サービスおよび、デリバティブ取引の物理的決済の一部としてそれら金属資源を調達するためのサービスを在ロシアの個人・事業体に輸出、再輸出、販売、供給することを禁止する行政決定、の2種類を発行した。英国とともに導入したこれら制裁措置の結果、ロシア原産のアルミニウム、銅、ニッケルをロンドン金属取引所(LME)やシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)などの金属取引所で新たに受け入れることが禁止される。バイデン政権はこれまでに、英国をはじめとするG7諸国などと協調して、ウクライナでの戦争を継続するロシアに対して数々の制裁を発動してきた。今回の制裁も、2024年2月に発表されたG7首脳声明(英文/和文仮訳)で「われわれは金属からのロシアの収入を減らす取り組みを継続する」としていたことを踏まえた措置となる。
ジャネット・イエレン財務長官は、「英国と協調した主要金属に対する新たな禁止措置は引き続き、ロシアがウクライナでの非道な戦争を継続するために獲得する収入を狙い撃ちにしている」「狙いを定めた責任あるかたちでの措置により、われわれはロシアの収入を減少させるとともに、友好国と同盟国を望まない波及効果から守る」との声明を出している。米国内のアルミ市場への影響について、米国アルミニウム協会のチャールズ・ジョンソン会長は、これまでの対ロ制裁を受けて、国内のアルミ輸入者は既に輸入先をロシアから他国・地域に切り替えているため、国内のアルミ供給に与える影響は限定的との見方を示している。一方で、国際コモディティーとしてのアルミ貿易に対しては影響を与え得るとした(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版4月12日)。
(磯部真一)
(米国、ロシア、英国)
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