長引く猛暑で南部の電力需要が増加、節電呼びかけへ

(ベトナム)

ホーチミン発

2024年04月16日

ホーチミン市電力総公社(EVNHCMC)とベトナム南部電力総公社(EVNSPC)によると、ベトナム南部地域では、長引く猛暑の影響もあり、電力消費量が増加している。ホーチミン市の電力消費量は4月と5月に1日当たり9,500万キロワット時(kWh)を超え、過去最高を更新すると予測されている(VNエクスプレス3月30日)。国立水文気象予報センターは、2024年の南部地域での乾季のピークは3月中旬から5月上旬にかけてとしている。

EVNSPCの管轄下にあるベトナム南部21の省・市(注)の3月の電力消費量は前年同月比13.4%増の80億1,900万kWhに達した。また、2024年の第1四半期(1~3月)の電力消費量は、前年同期比14.4%増の217億5,000万kWhで、家庭用が19.3%増、鉱工業・建設業が12.3%増加した。電力消費量の増加率が高い省は、タイニン省29.6%、バリア・ブンタウ省14.9%、ロンアン省14.2%、ドンナイ省11.4%など、鉱工業・建設業の企業進出割合が高い省が挙がっており、産業動向による影響もみられる。

電力消費量増加に伴う影響について、各省・市の工業団地および企業の状況は、次のとおり(ジェトロによるヒアリング4月3日)。これまで節電への協力依頼を受けたところはあるが、ヒアリングした範囲では、具体的な節電要請があった事例はなかった。

  • ホーチミン市とロンアン省の工業団地:現時点で節電要請は実施していない。
  • ドンナイ省の工業団地:EVNより、大口の需要家に対して最大電力需要(Pmax)の目標値を設定し、その範囲内で運営するよう協力依頼があった。
  • ビンズオン省の工業団地:2023年はEVNより個別に入居企業に対して節電の協力依頼があったが、現時点ではきていない。
  • ビンズオン省の鉄鋼関連企業:2023年は5月に電力消費を抑えるようビンズオン省から協力依頼の通達があり、節電対応したが、現時点で同様の通達はきていない。

EVNHCMCとEVNSPCは、電力消費の急増による電力供給の中断を回避するため、企業や市民に対し、電力消費がピークとなる時間帯(午前11時30分~午後2時30分、午後8時~午後10時)に、消費電力の大きい機器の使用の制限や、節電を呼びかけている。

(注)ホーチミン市を含まず、中南部ニントゥアン省、ビントゥアン省以南、中部高原ラムドン省を含む。

(新田和葉)

(ベトナム)

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