米エネルギー省、産業脱炭素化に向けてアルミ・非鉄金属関連プロジェクトに9億3,460万ドルの投資を発表

(米国)

ニューヨーク発

2024年04月02日

米国エネルギー省(DOE)は3月25日にエネルギー集約型産業の脱炭素化や産業における温室効果ガス(GHG)排出量の削減などを目的とした33のプロジェクトに、最大60億ドルを拠出すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(2024年3月29日記事参照)。選定されたプロジェクトのうち、9億3,460万ドルの拠出が見込まれているアルミ・非鉄金属関連の主なプロジェクト概要の概要は次のとおり。

  1. 先進的銅リサイクル施設プロジェクト(ケンタッキー州、連邦拠出2億7,000万ドル):銅リサイクル施設への投資を通じて、リサイクルのキャパシティと能力の向上を図る。これにより、銅スクラップやその他の銅含有金属から、電気自動車(EV)や半導体を含むさまざまな用途に適した高純度の銅の精錬を可能にするとともに、同水準の銅を精錬する場合に最も炭素排出量が少なくなるようにする。本プロジェクトにより、製造業などで200人の雇用創出を見込む。
  2. グリーンアルミニウム精錬プロジェクト(ケンタッキー州またはオハイオ州:連邦拠出5億ドル):エネルギー効率に優れた設計とカーボン・フリー・エネルギーの使用により、従来のアルミニウムの一次精錬法と比較してCO2排出量を75%削減する。本プロジェクトにより精錬されたアルミニウムは国防、EV、半導体、建築・建設、グリーンエネルギー向けを想定。本プロジェクトにより、製造業などで1,000人、建設業で5,500人の雇用創出を見込む。
  3. 低炭素スマートメルト炉転換プロジェクト(ウェストバージニア州:連邦拠出7,500万ドル):クリーンな水素を含む、さまざまな燃料を使用できるスマートメルト炉を導入し、現在、航空宇宙、防衛、海洋、輸送部門に材料を供給しているアルミニウム圧延工場を米国初のゼロカーボンアルミニウム鋳造施設にする。
  4. 次世代アルミ・ミニ・ミルプロジェクト(コロラド州:連邦拠出2,230万ドル):次世代型の連続鋳造技術を導入することで、天然ガス消費量の15%削減、作業効率の上昇、アルミスクラップのリサイクル率の15%向上を図る。また、この導入により、EVやその他のクリーンエネルギー技術用のアルミニウムを生産できるようになるという。
  5. 廃棄物ゼロ先進アルミニウムリサイクルプロジェクト(インディアナ州:連邦拠出6,730万ドル):アルミニウムをリサイクルする際に発生する2次廃棄物のさらなる活用を図るべく、処理プラントを設置する。これにより、これまで廃棄物として埋め立てに使われていた塩スラグを再度アルミニウムのリサイクル工程に戻したり、セメントなど他の産業で利用できるようにしたりすることで、廃棄物ゼロを目指す。本プロジェクトにより、製造業などで9人、建設業で100人の雇用創出を見込む。

(加藤翔一)

(米国)

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